口永良部島紀行(2)

     口永良部島でヒマつぶし

  翌朝、6時起床。天気は晴れ。外でクマゼミが鳴いている。
 今日はもう口永良部島をあとにするが、帰りの船は15時20分発なので、まだ時間は持て余すほどある。
 荷物は宿に残したまま、自転車で出かけ、まずは町役場出張所の公衆電話から屋久島の宿に電話。屋久島ではキャンプばかりだったので、最後ぐらいまともな宿に泊まりたいと思い、宮之浦の民宿リストで上から順番に電話してみたが、どこも満室で、数軒目でようやく部屋が取れた。ただし、夕食の用意は出来ないとのこと。まぁ、いいか。

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 しばらく本村集落を気の向くままに走り回り、家並みや花や猫やヤギやバリケンの写真を撮る。クロイワツクツクも見つけたので、これもパチリ。

f:id:peepooblue:20211009145214j:plain口永良部島の猫)

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f:id:peepooblue:20211009145335j:plain(野良?バリケン

f:id:peepooblue:20211009145422j:plain(クロイワツクツク)

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 とにかくヒマなので、寝待温泉にでも行ってみようかと思ったが、もうあまり山道を走る気分にもならない。島の旅はただひたすらのんびりというのがいい。

 それで、西ノ湯の先の海岸で時間を過ごす。ここは学校の生徒たちの水泳場にもなっているそうだが、今日は誰もいない(というか、島に来て、まだ子どもの姿を見ていない)。岩礁の多い、きれいな海で、海岸に湧き出す地下水がさらさらと海に流れ込んでいる。

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 岩場には大小さまざまなフナムシがゾロゾロ。ほかにもヤドカリ、そして屋久島の平内海中温泉で見た岩に登る魚がここにもいた。あとでいろいろ調べてみて、ヨダレカケという妙な名前のギンポの仲間ではないかと思うのだが、確証はない。さらに、ちょっと海に入ってみたら、猛毒を持つというエラブウミヘビが足元にいてギョッとした(性格がおとなしくて、人に噛みつくことはほとんどないとあとで知った)。

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 お腹が空いたので、本村に戻り、食料探し。お店は3軒しかなく、うち1軒は夏休み中。それぞれに食料品から雑貨まで扱っているが、品数豊富とはいえない。これで島の人々の消費生活を支えているのだ。店内に小学生の女の子がいて、これが島で初めて目にした子どもだった。

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f:id:peepooblue:20211009145820j:plain(島唯一の商店街?)

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 とにかく、パンやお茶、お菓子を買って、港に近い、フナムシだらけの海岸で食べる。黒潮にのって流れ着いたのか、大きなヤシの実がひとつ転がっていた。

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     さようなら、口永良部島

 14時頃、宿に戻り、おばちゃんに宿代5,500円を払い、荷物を自転車に積んで、改めて港へ。大阪のおじさんも同じ船で帰るので、少し遅れてバイクでやってきた。島の若者や子どもが数人、たむろしている。こんなに若い人がいたのかと驚く。

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 防波堤の先端で釣りをしている女の子に大阪のおじさんが釣り方のアドバイスをしていたが、釣果はゼロのようだった。彼女も大阪の大学生で、島の牧場でアルバイトをしているそうだ。やがて、牧場から白い軽トラック(この島の車はほとんどコレ)が迎えに来て、彼女は帰っていった。

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 迎えのフェリー太陽は15分遅れの14時55分に入港。乗客がなんと30人以上も降りてきて驚いた。島民の生活物資を積んだコンテナも下ろされる。島が少しだけ活気づいた。少し名残惜しい気持ちになった。もうこの島に来ることはないだろうけれど、来てよかったと思った。

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f:id:peepooblue:20211009151036j:plain(さようなら、口永良部島

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 すっぽりと雲をかぶった火山に見送られて、船は定刻通り15時20分に口永良部島を離れた。乗客はおじさんと僕のふたりだけ。昨日ほど揺れることもなく、17時に屋久島の宮之浦港に到着。都会に戻ってきたかのように錯覚する。

f:id:peepooblue:20211009151234j:plain屋久島・矢筈岬の彼方に隠れつつある口永良部島

 親戚の家に行くというおじさんと別れ、この日は宮之浦の民宿に宿泊。今日の走行距離は16.3キロ。