都民の森(その3)

 12月13日、日曜日。檜原・都民の森での自然観察会の2日目。
 新緑の頃なら、夜明け前から始まる野鳥のコーラスが素晴らしいのだが、この季節は山全体が静まり返っている。
 それでも夜明け前に目が覚めたので、ちょっと外に出てみた。

 相変わらず星は全く見えない。それどころか、今日は雨になるという予報らしい。傘など雨具類を忘れてきた、ということを昨日の朝、家を出て少し歩いたところで思い出したのだが、まぁ、大丈夫だろうと思い、そのまま来てしまったので、雨に降られると困るのだ。でも、まぁ、なんとかなるだろう。
 それにしても、この時間帯の空気感というのは何度味わってもよいものだ。

 寒さもさほど感じない。
 少しずつ明るくなるなか、チーチーと微かな声が聞こえてくる。
 ヒナコウモリの声らしい。ほかにミソサザイの地鳴き、ウソの声も聞こえた。

 予報通り、6時頃から雨がポツポツと落ちてきた。大した降りではない。

 森林館のまわりにヤマガラやコガラ、シジュウカラなどがやってくる。ヒメネズミも姿を見せたらしいが、それは僕は見逃した。
 そして、建物の裏の斜面にパンくずやドングリをまくと、すぐにカケスも5羽ほどやってきた。


 カケスは山に行けば、よくその声を聞くし、飛んでいる姿も見かけるが、こんな風に間近で観察できる場所はほかにあまりないらしい。


 すっかり明るくなると、子どもたちにとっては待望のリス(ニホンリス)もやってきた。



 小学生の男の子が「あ、カヤクグリがきた」などと言う。本当だ。でも、こんな地味な鳥を見分けられる小学生、すごいな。

 ところで、昨日、巣箱に入れたヒナコウモリ。けさチェックしたら、1匹だけ残っていたという。10匹はどこかへ飛んでいったらしい。保護された麓の製材所へ帰った、なんてこともあるのだろうか。

(ヒナコウモリの巣箱)
 結局、朝は雨のため、野外観察には出ず、ずっと森林館で研修室の窓からカケスやリスなどを観察して過ごす。

 朝早くからやってきた犬連れの登山者が通って、カケスやリスが逃げてしまったなんてこともあったが、登山者が行ってしまうと、またリスもカケスもやってきた。

アカゲラのベル。紐を引くとベルをつついて音が出る仕組み)

 そういえば、最近、都民の森でテレビの撮影が行われたそうで、かなり貴重な映像が撮れたらしく、裏話なども含めていろいろ話を聞いたのだが、まだ情報解禁前なのでここに詳しいことは書けない。あと数日したら、このブログでも紹介するつもり(都民の森その1〜その3までの記事のどこかにヒントが隠されています)。ちなみに放送予定日は来年1月17日。

 最後に観察会のまとめとアンケートなど書いて、このイベントも10時に終了。帰りの送迎バスは10時15分発だから慌ただしい。晴れていれば、路線バスのある麓の数馬まで歩いて温泉に入って帰ろうなどと考えていたのだが、小雨が降っているので、結局、送迎バスに乗った。
 帰りは麓の数馬ではなく檜原村の中心部に近い払沢ノ滝入口のバス停まで無料で乗せてくれた。バスが着くと、五日市行きのバスが来ていたが、こちらのバスが停まると同時に向こうのドアが閉まってバスが行ってしまった。次のバスまで35分あるので、停留所向かい側の豆腐屋で名物の「うのはなドーナツ」を1個買って食べながら、先月も来た払沢ノ滝まで片道10分ほどの道を往復してきた。


 払沢ノ滝。日本の滝100選にも選ばれている。


 バスの発車10分前には停留所に戻る。
 バス停前の石仏。地蔵と馬頭観音

 凛々しいお顔の馬頭観音檜原村にはこういう魅力的な石仏が多い。

 あとはバスと電車を乗り継いで帰宅。