STELLA LEE JONESライヴ


 吉祥寺のシルバー・エレファントでステラ・リー・ジョーンズのライヴ。彼らのライヴはもう何度目か分からないぐらい出かけているし、そのたびに記事を書いているが、僕は直近2回は見逃していて、昨年5月以来だ。
 18時開場、18時半開演。


 ステラはヴォーカルなしで、ギター、ヴァイオリン、アコーディオン、ピアノ、ベース、ドラム、パーカッションというロックバンドとしてはちょっと変わった楽器編成の7人組。現在、パーカッションの正規メンバーが不在で今回も相川瞳さんがゲスト出演。ゲストといっても、最近、彼女はステラの音楽にとって不可欠な存在になりつつあり、ほとんどレギュラーメンバーになっているのだが。

 STELLA LEE JONES
  平田聡   ギター
  佐藤真也  ピアノ&キーボード
  入山ひとみ ヴァイオリン
  佐々木絵実 アコーディオン
  佐野俊介  ベース
  谷本朋翼  ドラムス
  相川瞳   パーカッション&ヴィブラフォン
 

 今日のライヴは6台のビデオカメラがセットされており、この先、映像作品の登場を期待したくなる。リーダーの平田氏によれば、「今日の撮影が何を意味するかは私にもわかりません」ということだったが。
 ステージにメンバーが登場し、効果音で駅の雑踏のノイズが流れると、相川さんのホイッスルが発車の合図。エレクトリックヴァイオリンが汽笛を鳴らし、アコーディオン蒸気機関車のドラフト音を、パーカッションとギターが徐々に加速する列車の走行音を再現し、疾走感あふれる「Parallel Railways」からライヴがスタート。ヴァイオリンが京浜急行の電車のインバータ音を再現するのもすっかりおなじみだ。

 ロック、ジャズ、クラシック&現代音楽、映画音楽など様々な音楽要素が入り乱れ、変拍子を多用した複雑なリズムに乗って、曲がどのように展開するのか、初めて聴く人にはなかなか先が読めないのだが、そこが彼らの音楽の持ち味であり、魅力でもある。
 演奏するのがとても大変そうな難曲「Mirror」ではウインドチャイムが倒れるハプニングがあったり、「Synapse」では相川さんのヴィブラフォン・ソロがフィーチュアされる新機軸も。ヴィブラフォン好きとしては嬉しい展開。
 ステラの数あるレパートリーの中でも聴きたい曲としてパッと頭に浮かぶ曲が次々と演奏され、時空を超え、国境を越えて、世界中を旅するような、めくるめく音楽体験を堪能した。どの曲もどの曲もいつまでもずっと聴いていたい、終わってほしくない、と思ってしまう。
 「燃えよドラゴン」へのオマージュであり、まさに香港・九龍城に迷い込んだような「Jigsaw Cats」

 ステラの楽曲の中でも穏やかでポップで万人向き(?)の「August Showers」

 寺山修司の未発表の詩に曲をつけたステラ初のヴォーカル入りの作品も演奏されたが、今日は歌なしのインスト・ヴァージョン。次回のライヴではゲストヴォーカリストを迎えて披露される予定とか。実は今日の客席にそのヴォーカルの人が来ていたらしい。
 ステラのライヴといえば、緊張感あふれる演奏と曲の合間のトークのグダグダ感のギャップというのも大きな魅力だと思っているが、今回はカメラが回っているせいか、トークは控えめ…かと思ったら、終盤になって、いつもの感じになってきた。平田氏がメンバー紹介でベースの佐野氏を紹介し忘れるとか。
 本編最後はドラムとパーカッションのバトルをはさんだ「Ring」。この後、平田氏がアンコール後にすべき挨拶を始めてしまったので、メンバーはそのままステージに残ってアンコールの「The 15th Worriors」を演奏。終演後には観客も一緒に記念撮影。

エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)

エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)

(おまけ)井の頭公園の夕景。