台風一過

 関東を直撃する台風としては観測史上最強ともいわれる強い台風15号が襲いかかってきた。最大瞬間風速60mだという。東京へ来る台風でこんな数字は見たことがない。50mですら見たことがない。これは現実なのか?! そんな風に吹かれたら、我が家など倒壊の危機だ。家はなんとか持ちこたえても、ただでは済まないのは確実だ。

 昨年、関西地方を襲って大きな被害を出した台風21号による家の屋根が吹き飛ばされたり、トラックが軽々と横転したりする映像を何度も見せられ、同じようなことが今度は関東で起きると脅かされながら、嵐の前の静けさの中、日曜日の夜を迎え、無事に朝を迎えられるだろうか、と不安いっぱいのまま床に就いたが、そう簡単に寝られるはずもない。しかも、本土に近づいてからさらに発達して、中心気圧が955hPa、「非常に強い台風」にランクアップしているではないか!

 激しい雨音を聞きながら、NHKの台風情報をつけたまま、ウトウトしたり、目が覚めたりを繰り返していたら、午前2時ぐらいからいよいよ風が本格的に吹き荒れ始めた。すでに伊豆諸島の神津島では風速58.1mを観測したという。

 こんな暴風台風の進路の右側に入るのは最悪だ。台風の進路予想図を見ながら、千葉県の人には申し訳ないけれど、なんとか東京が台風進路の左側になるように念じる。そのまま東京湾を通ってくれ、と。本当なら房総半島沖を通ってくれればよかったのだが、それはもはや無理だ。

 台風は午前3時頃、三浦半島を通過して東京湾を北北東に進む。風はどんどん強まるが、東京は北寄りの風で、我が家の場合、北隣の建物が風よけになってくれているのか、風の音はすごいが、風の直撃は免れているようだ。それでも、時々、家が揺れる。

 横浜(41.8m)や羽田空港(43.2m)、木更津(49.0m)などで40mを超える記録的な風速が次々と観測され、風や雨による被害が続々と伝えられる。それでも、自分の家の周辺では昨年の台風24号の恐ろしさに比べると、そこまでではないな、という印象。でも、まだ油断はできない。東京都心では3時半頃に31.4m。

 東京湾を北上した台風は午前5時頃、千葉市付近に上陸。その千葉市では57.5mという信じられないような風速(もちろん観測史上1位)を記録。ただ、このころにはもう世田谷ではピークを過ぎたな、という安堵感もあった。その証拠に台風情報ではなく、フジテレビの「クイズ!脳ベルSHOW」(再放送。本放送はBSフジ22:00~22:55)にチャンネルを合わせていたりする。

 民放の朝のニュース番組も始まり、暴風雨の中でヘルメットをかぶった女性記者が吹き飛ばされそうになりながら台風被害の様子を伝えている。はりきっているなぁ。まさに野次馬代行業者の面目躍如だが、実際に危険な現場に派遣される若手記者たちはべつに好きこのんで行っているわけでもないだろう。

 台風は960hPaで上陸し、千葉県から茨城県を通って太平洋へ抜けていった。

 自宅では植木鉢がひっくり返ったり、木の枝が折れたりしていたが、大きな被害はなかった。ただ、関東各地で多くの被害が出た。防波堤の損壊、送電線や電柱の倒壊、ゴルフ場のネットの支柱が倒れて住宅を直撃、トラックの横転、工事現場の足場の崩壊、樹木が倒れて道路や線路をふさぎ、駅の屋根が飛ばされるなど。首都圏の多くの路線は始発から計画運休を実施したが、被害が相次ぎ、運転再開は大幅に遅れ、交通も大混乱。大規模な停電も発生した。亡くなった人も2名。そのうち1名は世田谷区内だった。

 藤沢に住む妹は風がものすごかったらしくて、うちも被災しているのではないかと心配して電話をかけてきた。

 そして、台風が過ぎ去って、日中、東京は都心の気温が今年最高の36.2℃まで上昇。練馬では37.0℃。猛烈に暑かったが、カラッとした暑さでもあった。

 千葉県などでは停電が今も全面復旧には至っていない。エアコンが使えず、熱中症が心配だ。

 被災された方々には心からお見舞い申し上げます。

 

(おまけ)オーストラリアガマグチヨタカ@多摩動物公園

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(きょうの1曲)Isabelle Antena / Le Poisson des Mers du Sud


Isabelle Antena - Le Poisson des Mers du Sud