今日の東京は曇りで最低気温は21.7℃、最高気温も23.6℃までしか上がらず、すっかり秋めいてきた。
今宵は「中秋の名月」だが、雲の合間から時折、小さな丸い月が顔をのぞかせる程度。すぐに雲に隠れてしまう。
23時過ぎ。
多摩動物公園では8月25日にチンパンジーの赤ちゃんが誕生したそうだ(本日発表)。女の子で、母親はピーチ(28歳11カ月)、父親はマックス(11歳11カ月)。
ピーチは2度目の出産だが、前回は11年前。2008年7月2日で、生まれたのが男の子のジン。この時、ピーチは自分が子供を産んだということが理解できなかったのか、初めての経験にパニックになったのか、産み落とした赤ん坊を抱こうともせず、そのまま育児放棄。床に放置され、衰弱していた赤ちゃんは動物病院に移されると、すぐに元気を取り戻し、飼育員による人工哺育ですくすくと成長し、「ジン」と名付けられた。チンパンジーの赤ちゃんは1,500g前後で生まれるのが普通だそうだが、ジンは2,100gもあり、体力にも恵まれていたようだ。
しかし、人間に育てられたチンパンジーはチンパンジーとしての生き方や社会性を身につけることはできない。そこで多摩にいるチンパンジーたちとお見合いを重ねた結果、サザエというメスがジンの養母となり、サザエは我が子のようにジンを育てたため、2年以上もかかったとはいえ、ジンは無事に群れに加わることができたのだった。
ジンの誕生から人工哺育、養母との生活、群入りまでの話はこの本に詳しく書かれている。またチンパンジーの育児放棄や子殺しの心理にも触れられている。
現在、11歳のジン。
赤ちゃんの時の写真を見ると、とても可愛いのだが、ずいぶん渋い顔の若者になったものだ。
昨年6月に群れのリーダーだったケンタが37歳で死亡して、そのあとを継いだのは13歳のボンボン。この日もボンボンは多くのメスに囲まれていたが、序列の低いジンはぽつんと離れて座っていた。
それでも、ジンのそばに寄ってくるメスも何頭かいたし、ジンは年下のチンパンジーのいい遊び相手にもなっているようだ。
ちなみにジンの実母のピーチ。今回はちゃんと赤ちゃんに授乳しており、群入りもそう遠くはなさそうだ。
こちらはリーダーのボンボン。
多摩のオランウータンはもう完全に個体識別ができるが、今回生まれた赤ちゃんも含めて19頭もいるチンパンジーについては、全然見分けがつかない。とりあえず、ジンの顔は完全に覚えた。
(きょうの1曲)具島直子/モノクローム