第64回有馬記念

 中央競馬の1年をしめくくるグランプリ、有馬記念中山競馬場・芝2500メートルで行われ、G1馬11頭を含む超豪華メンバー16頭が出走した。今年、それぞれに活躍し、それぞれの物語を紡いできた馬たちが一つの舞台で激突するのが有馬記念であるが、断然の1番人気に推されたのは春のドバイで世界にその強さを見せつけ、秋は天皇賞を制してG1レース6勝目をあげた現役最強馬アーモンドアイ(牝4歳)。そして、2番人気には宝塚記念、オーストラリアのコックスプレートと国内外のG1を連勝した5歳牝馬リスグラシューリスグラシューはこれが引退レースでもある。2頭の強い牝馬の最初で最後の対決に注目が集まった形だが、もちろん、ほかにも強豪がずらりと揃い、まさにドリームレースとなった。

 レースはアエロリットがハイペースで逃げ、アーモンドアイは中団馬群の外、リスグラシューはそれより後ろの内側を進む。

 そして、2周目の4コーナー手前ではアーモンドアイが4番手まで順位を上げ、最後の直線で先頭に並びかける。そのまま突き抜けるのかと思いきや、意外に伸びない。外から3番人気のサートゥルナーリア、さらにリスグラシューが追い込んでくる。そして、接戦になるかと思う間もなく、リスグラシューが圧倒的な走りで後続を突き放し、2着に5馬身差をつける圧勝。自身のラストレースで4つ目のG1タイトルをゲット。

 一方のアーモンドアイはまさかの9着。香港遠征が発熱のため直前で取りやめとなり、有馬参戦が急遽決まったわけだが、初めての中山コース、初めての2500メートル、不利といわれる外枠スタートなど、いろいろな要因が重なったということだろうか。今まで見たことのない負け方が少し気になる。

 ハイペースだった今年の有馬記念は先行した馬が軒並み失速して下位に沈み、後ろから行った馬が上位にくるという極端な結果になった。ちょうど真ん中あたりにいたアーモンドアイの失速もそのあたりに原因があるのかもしれない。

 アーモンドアイが力を出し切れなかったのは残念だが、リスグラシューの鮮やかな勝利は今年を締めくくるのにふさわしい痛快なレースではあった。牝馬が宝塚、有馬とグランプリを連覇するのは史上初めて。令和最初の年度代表馬に選ばれるのも間違いないだろう。

 フランス語で優美な百合を意味するリスグラシューハーツクライ産駒。3歳時の牝馬三冠レースでは2着、5着、2着と好走するのに勝てない善戦ガールだったが、4歳秋にエリザベス女王杯でG1を初制覇して、5歳になった今年、いずれも圧倒的な勝ち方で牡馬の強豪をも蹴散らしてG1を3連勝。今がまさに絶頂期。誰もが言うようにこれで引退というのは本当にもったいない。でも、彼女にはこれから繁殖という大事な仕事が待っている。いずれ彼女の子どもたちが活躍する日を待つことにしよう。


2019 有馬記念

 

1着リスグラシュー(D.レーン) 2着サートゥルナーリア 3着ワールドプレミア

4着フィエ―ルマン 5着キセキ