第38回全農カーリング日本選手権2021

 今年もカーリングの日本選手権の季節がやってきた。

 当初は史上初めて関東(新横浜)での開催予定だったが、新型コロナの影響で、北海道稚内市に会場を移して、無観客での開催となった。とにかく大会が中止にならなかっただけでも、喜ぶべきことなのだろう。

 そして、この大会は早くも来年に迫っている北京五輪の代表選考を兼ねた重要な大会でもある。昨年優勝のロコ・ソラーレ(女子)、コンサドーレ(男子)が連覇すれば、そのまま代表決定。別のチームが優勝すれば、代表決定戦が行われることになる。ただし、まだ日本としてオリンピックの出場権を獲得しているわけではないので、今年の優勝チームは日本代表として、出場権獲得をめざして世界で戦うことになる。当面の目標は春に行われる世界選手権だったが、女子は今年も中止が発表され、どのように五輪出場枠を決定するのか、現時点では決まっていないというのが実情。男子はカナダで開催予定の世界選手権で上位6位までに入れば五輪出場決定。ここで決まらなければ、世界最終予選に回ることになる。

 さて、38回目になる今年は大会規模も縮小されて、参加チームは男女とも7チームずつ。前回の優勝・準優勝チームに北海道・東北・関東・中部・西日本の各ブロックの代表チームが出場。このブロック分けでもカーリングの競技人口の分布状況がよくわかる。

 今年は男女とも小学生が1人ずつ参加していて、女子はピョンチャン五輪をきっかけにカーリングを始めたというママ友たちのチーム倉敷に小6女子が加わっていたし、男子はチーム岩手で40代のおじさんたちに交じって大会史上最年少の小5、松原永和くんが奮闘していた。松原くんはカーリングのお手本のようなきれいなフォームで、チームのサードを務め、作戦面でも積極的に意見を言い、おじさんたちを引っ張るぐらいの活躍ぶりだった。

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(チーム岩手)

 残念ながら、どちらのチームも勝ち星をあげることはできなかったが、国内最高峰の大会で、日本を代表する強豪チームと真剣勝負を繰り広げた経験は単なる思い出ではなく、人生の宝になるはず。将来、日本を代表するようなカーラーに成長してほしい。

 

 さて、大会は女子はやはりロコ・ソラーレ北海道銀行中部電力、富士急の4強が抜きんでていて、この4強同士の対戦も例年以上に実力伯仲の接戦が目立った。それでも高いレヴェルで安定しているロコ・ソラーレが予選リーグは全勝で1位通過。2位は5勝1敗の北海道銀行。3位は個人的に応援している中部電力。4位が富士急。

 そして、今日から決勝トーナメント。1位のロコ・ソラーレと2位北海道銀行が対戦し、勝ったロコ・ソラーレは明日の決勝へ。負けた北海道銀行は3・4位対決を制した中部電力と準決勝で対戦し、8対2の思わぬ大差で、北海道銀行が勝利し、明日の決勝で再びロコ・ソラーレと対戦。

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ロコ・ソラーレ。近年は解説者として人気だった石崎琴美さんがリザーブで加入)

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北海道銀行。左から伊藤彩未、船山弓枝近江谷杏菜小野寺佳歩、吉村紗也香)

 中部電力は今季から新加入のルーキー鈴木みのりを積極的に起用し、司令塔のスキップも試合ごとに中嶋星奈と北澤育恵に交代で任せるなど、いろいろ試しながら試合を重ねていたが、それが裏目に出たような気がしないでもない。ただ、このチームはまだまだ若いので、北京の出場権は逃したが、その次は十分狙えるだろうし、その頃にはさらに強いチームになっているだろうと期待している。

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中部電力。左から石郷岡葉純、鈴木みのり、中嶋星奈、松村千秋、北澤育恵)

 

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コンサドーレ

 男子は前年優勝のコンサドーレと準優勝のTM軽井沢、さらにSC軽井沢クラブが3強かな、と思っていたら、とんでもない新星が現れた。カーリングの本場、北海道北見市常呂町の高校生4人組、常呂ジュニアだ。

 

 予選リーグではTM軽井沢に最終エンドで3点差を追いつかれ、延長で敗れはしたものの、これが唯一の敗戦で、コンサドーレも破って、予選は5勝1敗で1位通過。

 決勝トーナメントでは予選2位のコンサドーレと大接戦を演じ、惜しくも敗れたが、今日の準決勝では3・4位戦から勝ち上がってきたTM軽井沢を8-5で破り、明日の決勝でコンサドーレと優勝と世界選手権日本代表の座をかけて対戦する。

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常呂ジュニア)

 常呂ジュニアの身長180センチのスキップ前田拓海くんのデリバリーのフォームはカナダのスター選手ケヴィン・クーイにそっくりでカッコイイ。クーイのチームがカナダ代表で出てくるかどうかわからないが、世界選手権で対戦してほしいなぁ。


Top 10 Kevin Koe curling shots of all time - With honourable mentions -

 さて、明日の決勝。男女とも楽しみ。