昨日(4月9日)、また筑波山に行ってきた。1月に登ったばかりで、ちょうど3カ月ぶり。
5時過ぎに起きて、小田急線~千代田線~つくばエクスプレスといういつもの乗り継ぎで、7時40分頃、つくば駅に到着。今回はつくばエクスプレスと筑波山へのバスの往復割引乗車券「筑波山あるきっぷ」を買ってきた。北千住からで3,110円。プラス1,000円でケーブルカーとロープウェイも乗り放題の「筑波山きっぷ」もあるが、今回も登山はすべて歩きの予定。
つくば駅から筑波山までのシャトルバスは8時が始発だが、前回と同様、7時52分に臨時便があり、今日もそれに乗る。前回は座れなかったが、今回は座れた。恐らくバス1台では乗り切れないので、多客時はこの臨時便が出るのだろう。7時52分の発車時点で、すでに次の8時の便を待つ大行列ができているのだった。
さて、バスは筑波山麓の沼田まで信号停車以外はノンストップ。ここから登山道路。沿道には桜が植えられ、すでに散り始めているものもあれば、今が見頃のものもある。1月の筑波山は雪があったが、今日は春本番で、日中もかなり気温が上がりそうだ。
筑波山神社入口でかなり下車したが、僕は今回は終点のつつじヶ丘まで行く。ここまで約50分。
ロープウェイの駅があるつつじヶ丘は筑波山の南東へ伸びる稜線上にあり、標高はすでに500メートルを超えている。6年前に自転車で来たが、ここから山頂まで歩くのは小学生の時以来かもしれない。
さっそくスタート。「おたつ石コース」という名がある登山道で、日当たりのよい道である。ウグイスが盛んにさえずり、道端のあちこちにタチツボスミレが咲いている。
ガマ大明神。。。筑波山といえば「四六のガマ」。
このあたりが「つつじヶ丘」らしい。ツツジの開花はもう少し先のようだ。
つつじヶ丘を過ぎると、樹林帯に入るが、鬱蒼とした感じはない。
しばらく登ると、林の中でカタクリが咲いていた。
この白い花はニリンソウかな。
ウグイスの声を聞き、小さな花々に目を留めながら登っていくと、1月に歩いた白雲橋コースと合流する弁慶茶屋跡に出た。ここからは筑波山を象徴する斑糲岩の奇岩巨石が立て続けに現れるコースだ。
最近、ブログで何度か触れている室町時代の京都聖護院門跡・道興准后は文明18(1486)年から翌年にかけて東国を巡歴しているが、その道中で筑波山にも立ち寄っている。紀行『廻国雑記』によれば、文明18年旧暦9月24日のことで、晩秋の筑波山は紅葉の季節であり、道興はここで初雪に降られている。
翌日筑波山に参詣し侍りけるに、初雪ふりて、紅葉はうすくれなゐに見えければ、
いづれをか深し浅しとながめまし、もみぢの山のけさの初雪
そして、筑波山中の「八重がさね」と呼ばれる霊石を訪れている。
また山に八重がさねといへる霊石侍り。いひすての発句、
きてぞ見るもみぢのにしき八重がさね
筑波山の巨岩怪石にはさまざまな名前が付けられているが、いまは「八重がさね」という岩はない。一体、どの岩のことだろうかと思うが、よく分からない。
(追記)後日、調べてみた結果、天正18(1590)年に筑波山知足院の僧・俊在が著した『筑波山流記』(『修験道史料集(1)』所収)に「女躰上兩部卛都婆、是則兩部灌頂也、其傍覆石又衣石八葉石、又女躰下八重石、筑波八重々云則是也」とあるのを見つけた。「八重がさね」が女体山頂付近にあることは分かったが、どの石のことを指すのかは不明。道興が筑波山頂に立ったことだけは分かった。
弁慶七戻り。
絶妙なバランスで引っ掛かっている。いつか落ちる日がくるのかどうか。
高天原。巨岩の狭間を登ると、岩上に稲村神社が祀られている。
「母の胎内くぐり」。
出船入船。かつて修験者はここから熊野三山を遥拝したという。熊野検校でもあった道興もこれらの岩を巡ったのだろう。
前回見過ごした「裏面大黒」。大きな袋を背負った大黒様の後ろ姿というけれど、どこをどう見たら、そう見えるのか?
山頂が近くなると、ブナの林となる。まだ冬の姿と変わらないが、新緑の季節はもうすぐだろう。1月はこのあたりはほぼ雪道だった。
北斗岩と小原木神社。
カタクリは至るところに咲いている。
「大仏岩だって」「あ、大仏だ」というような女子の会話が後ろで聞こえる。
最後はかなり険しい登り。前回は雪と氷で大変だった。
3歳ぐらいの男の子が登っていて、みんなからスゴイ、スゴイと褒められている。
筑波山の最高峰、女体山頂に到着。時刻は10時10分。途中、朝食休憩を含めて1時間20分ほど。暑い!
前回はここから霞ケ浦や太平洋が見えたが、今日は霞んでいて、霞ケ浦もはっきりしない。もちろん、富士山も見えない。
眼下につつじヶ丘の駐車場。
一等三角点。
山そのものが御神体である筑波山の女体山御本殿を拝み、御幸ヶ原へ向かう。
つづく。