WBC準々決勝

 World Baseball Classic 2023も1次ラウンドが終了して8強が出そろい、いよいよ準々決勝である。

 東京ドームでは昨日、A組1位のキューバとB組2位のオーストラリアが対戦し、4-3でキューバが勝って、準決勝が行われるアメリカ行きを決める。この試合、日本は出場しないのに3万5千人以上の観客が詰めかけたそうだ。侍ジャパンの試合はテレビの視聴率も40%以上を記録し、日本ではWBC、けっこうな盛り上がりである。

 そして、今日はB組1位の日本とA組2位のイタリアが東京ドームで対戦。イタリア代表といっても、現役バリバリのメジャーリーガーを含め、メジャー経験者、3Aなどアメリカでプレーしている選手が多いようだ。要するに意外に手ごわいかもしれない相手。しかも、監督はかつてドジャース野茂英雄の女房役だった強打の名捕手マイク・ピアッツァである。

 日本の先発は大谷翔平。初戦の中国戦以来2試合目の先発。打線は4番と5番を入れ替え、1番ヌートバー、2番近藤、3番大谷、4番吉田、5番村上、6番岡本、7番牧、8番源田、9番甲斐。韓国戦で右手小指を骨折した源田がスタメンに復帰した。

 イタリア先攻で始まった試合。初回、大谷は1安打を許したものの、後続を断ち、まずまずの滑り出し。その裏、日本はいきなり安打と四球で無死一、二塁のチャンスを作り、大谷が打席に入る。イタリアはショートが二塁ベースの右後方に守る極端なシフトを敷く。大谷の打球はあわやセンター前という鋭い当たりだったが、ショートのロペスがダイビングキャッチでアウト。吉田、村上も倒れて無得点に終わる。これまでの4戦なら確実に得点していた場面だが、今日の試合はそう簡単ではないぞ、と思わせる。

 大谷は1球ごとに雄たけびを上げる熱投。最速164キロを記録し、2,3回は三者凡退。思い切り飛ばしている。日本は2回にもチャンスを作ったが得点できず、0-0のまま3回裏の攻撃。イタリアはこの回から先発カステラ―二に代わってラソーラが登板。

 先頭のヌートバーが倒れた後、近藤が四球で出塁。打席に大谷。イタリアがまた極端に右寄りのシフトを敷いた初球、大谷は意表を突くセーフティバントを誰もいない3塁側へ転がす。投手のラソーラが慌てて捕球し、体勢を崩しながら一塁に投げるが、これが悪送球となり、一、三塁のチャンスとなる。これができるところが大谷のすごいところだ。続く吉田があわや中前打という鋭い打球を放つが、これも右寄りに守っていた遊撃ロペスが好捕。一塁アウト。しかし、この間に近藤が生還し、日本が1点先制。続く村上が四球を選び、走者2人を置き、6番岡本がレフトスタンドに飛び込む1号3ラン。4-0。これで日本の勝ちムードになった。

 初回から飛ばす大谷は4回、5回とピンチを招き、4回はなんとか無失点で抑えたが、5回は疲れからか、制球が乱れ2死球と安打で二死満塁から3番Do.フレッチャーの詰まった打球がライト前に落ち、2者生還で4-2。ここで大谷降板。2番手に伊藤大海が登板し、後続を遊飛に打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 2点差に迫られた日本は5回裏。マウンドを降りた大谷がDHで打席に入ると、四球で出塁。続く吉田も死球。イタリアは4番手のニットーリをマウンドに送るが、村上が初球をセンター右へタイムリ二塁打。5-2。続く岡本も右中間へ2点二塁打で7-2。イタリアをすぐさま突き放す。

 6回表、3番手・今永が見事な投球でイタリア打線を三者凡退に仕留めると、7回は4番手でダルビッシュが登板。やはり三者凡退。とにかく、日本の投手陣の質の高さはこの大会で際立っているように感じる。

 7回裏、先頭の吉田がライトスタンドへ1号ソロを放ち、8-2とすると、続く村上は2打席連続の二塁打。前の試合まで好調サムライ打線の中で村上だけ当たりが出ていなかったが、完全復調を思わせる鋭い打球。岡本敬遠の後、一死一、三塁から源田が右前に弾き返して9-2。

 8回にダルビッシュがDo.フレッチャーに1発を浴びたものの、9回は大勢がいきなり連打を許しながら後続を断ち、結局、9-3で日本が勝利。

 これで5戦全勝の日本は5大会連続のベスト4。侍ジャパンの選手たちは試合終了の数時間後にはチャーター機アメリカへ旅立つ。

 次の試合は21日。相手はプエルトリコとメキシコの勝者。どちらが相手であっても、とにかく国際大会ならではの海外の球場で試合をするサムライが見たい。

 

 日本対イタリアの試合。テレビの視聴率は48%に達したそうだ。