WBC準決勝

 WORLD BASEBALL CLASSIC 2023もいよいよ準決勝まで来た。場所はフロリダ州マイアミのローンデポパーク。昨日、先にアメリカがキューバを14-2で破って連覇に王手をかけ、今日は日本代表とメキシコ代表が決勝進出をかけて対戦。球場はメキシコの応援が圧倒的に優勢で、日本はアウェーな雰囲気。こういう環境で試合をしてこそ国際大会なのだと思う。

 日本の先発は佐々木朗希。メキシコはエンゼルス大谷翔平の同僚でもある左腕サンドバル。

 佐々木は初回から160キロ台のストレートと鋭く落ちるフォークで2三振を奪う上々の立ち上がり。一方のサンドバルもヌートバー、近藤、大谷を三者連続三振に打ち取る最高のスタート。

 両チーム無得点で迎えた4回表、佐々木は不運な当たりのヒット2本でピンチを迎え、ここで6番ウリアスにレフトスタンドに飛び込む3ランを打たれ、メキシコが3点を先制。

 佐々木は4回で降板し、5回からは山本由伸が登板し、メキシコ打線を抑えて、追加点を与えない。日本は5回、6回と満塁のチャンスを作るが、あと一本が出ず、0-3のまま試合は進む。

 7回裏、日本は二死から近藤のヒット、大谷の四球で一、二塁のチャンスを作り、ここでメキシコの3番手ロメロからここまで2安打の4番吉田正尚がライトポール際に飛び込む同点3ラン。試合は3-3の振出しに戻る。

 ところが、8回表、4イニング目の山本がメキシコ打線につかまり、連続二塁打で1点を勝ち越され、さらにヒットで一死一、三塁となったところで湯浅に交代。

 湯浅は二死二、三塁から5番パレデスに左前打を打たれ、三塁走者が生還。しかし、二塁走者は吉田の好返球でホーム寸前タッチアウト。メキシコが5-3とした。

 このあたりで今日のブログのタイトルは「決勝進出ならず」かな、などと考えたりもした。メキシコはメジャー選手が多く、これまで戦ってきた5チームよりも戦力的にレベルが高いな、と思う。

 8回裏、先頭の岡本が死球で出塁(代走・中野)。続く山田が左前打で無死一、二塁。ここで源田がバントを2回失敗しながらスリーバントを成功させ、一死二、三塁。一打同点のチャンスで甲斐の代打、山川がレフトへ犠牲フライを放ち、4-5。再び1点差に迫り、なおもヌートバーが四球を選んだが、2番近藤が三振に倒れ、1点差のまま最終回へ。

 9回表、大勢が死球の走者を1人出したが、後続を打ち取り、無失点で役割を果たし、いよいよ9回裏。メキシコは守護神ガイェゴスがマウンドに上がる。先頭打者は3番大谷。その大谷が初球を右中間へ打ち返すと、一塁手前でヘルメットを脱ぎ捨てて、二塁まで走り、ベース上で両手を振り上げ、味方を鼓舞する。

 続く打者はここまで3安打の4番吉田。四球。これで無死一、二塁。栗山監督はここで吉田に代えて俊足の周東を代走に送る。まずは同点狙いではなく一気に勝ちに来た。

 そして、打席には村上。今大会を通じて不振が続き、前の試合では2安打を放ったものの、今日は3三振でヒットなし。その村上が1球目ファウル、2球目は低めを見逃し、1-1からの3球目。打ち返した打球は左中間へ。センターが追うが、その頭上を越えてフェンスに当たる。二塁から大谷が生還、そして、周東も村上が打った瞬間にスタートを切って、あっというまにホームへ滑り込む。あまりに劇的でかっこよすぎる逆転サヨナラ勝ち。6-5。

 その瞬間の球場の盛り上がりがものすごかった。本場アメリカの野球ファンにも強く印象に残る試合になったのではないか。

 明日はアメリカとの決勝戦。相手はスーパースター軍団だが、ここまで来たら、もう全力でぶつかるだけだ。日本の先発は今永。総力戦になるだろう。