劇的すぎるパ・リーグCS第3戦

 第3戦までもつれ込んだパ・リーグクライマックスシリーズ、第1ステージ。千葉ロッテマリーンズ福岡ソフトバンクホークスの試合はロッテ小島、ソフトバンク和田の先発で始まり、両投手とも初回のピンチを切り抜けると、相手に得点を許さない好投で、投手戦となった。

 両チーム無得点で迎えた6回表、ソフトバンクは柳田が二塁打、続く近藤も右前打を放つが、三塁を回った柳田が荻野の好返球でホーム寸前タッチアウト。この回も得点ならず。

 終盤も両チームともチャンスは作るが、リリーフ陣が踏ん張り、試合は0-0のまま延長戦へ。この試合、シーズン2位のロッテは引き分けでも最終ステージ進出、ソフトバンクは勝たなければ敗退となる。

 10回表、ついに試合が動く。この回から登板のロッテ沢村に対し、二死二塁のチャンスに周東の中前打でソフトバンクがついに先制。沢村は気落ちしたのか、続く川瀬にも三塁打を打たれ、2点目を奪われ、ここで降板。さらに代わった坂本から柳田もヒットで3点目。3-0。完全にホークスの勝ちムード。ホークスファンは勝利を確信しただろう。僕もホークスファンではないが、そう思った。大体、こうなるとそのまま試合が終わるのだ。仲間の投手陣が懸命に無失点で繋いできたのを一人でぶち壊した沢村がベンチで呆然としている。

 しかし、10回裏、ロッテ打線はソフトバンクの7人目・津森に対して先頭の代打・角中が粘りに粘って10球目を中前打。続く荻野のぼてぼての当たりが三塁前への内野安打となり、無死一二塁。熱狂的なマリーンズファンで超満員のスタンドが奇跡を期待して俄然盛り上がってくる中、続く藤岡が初球を打ち返すと、高く上がった打球は右中間スタンドに届くまさかの同点スリーラン。試合は3-3の振出しに戻る。ソフトバンクはここで津森に代えて大津を登板させる。大津は藤原、ポランコをいずれも浅い外野フライに打ち取り、延長戦はまだ続くのかと思わせたが、5番・岡が左前打で出塁。さらに途中出場の安田が鋭く弾き返す。右中間を抜けそうな打球をライトの谷川原がギリギリで捕って、懸命のバックホーム。一塁走者の岡は三塁を回っている。中継プレーでホームに返ってきた球を捕手がつかんでタッチするより一瞬早くヘッドスライディングの岡の左手がホームに届いており、ソフトバンク側のリクエストによるリプレイ検証でも判定は変わらず、ロッテが劇的すぎる逆転サヨナラ、4-3で勝利。

 ベンチでショックが隠せない津森、グラウンドで膝をついたまま立ち上がれない大津。こういう時、チームスポーツというのは残酷だなと思う。

 とにかく、久しぶりにものすごい試合を観た。

 これでロッテが18日からのファイナルステージ進出決定。絶対的エース山本由伸を筆頭に盤石の投手陣で待ち構えるリーグ覇者オリックスに対して、猛烈な勢いをつけて挑みかかるロッテ。オリックスの選手たちも今日の試合を見てしまうと、ロッテがちょっと不気味に感じるかもしれない。

 両リーグともオリックス阪神がぶっちぎりで優勝したが、日本シリーズは一体どんな組み合わせになるのだろうか。