第84回皐月賞

 4月6日、阪神競馬場のレースで落馬した藤岡康太騎手(35歳)が搬送先の病院で10日に亡くなり、競馬関係者やファンの間に大きなショックと悲しみと喪失感が広がる中、それでも競馬は通常通り開催され、今週は3歳クラシックの第一弾、皐月賞中山競馬場・芝2000メートルで行われた。今年は牝馬1頭を含む18頭の3歳馬が参戦したが、レース直前に1頭(ダノンデサイル)が右前脚跛行のため競走除外となり、出走は17頭。そのうちのミスタージーティーの鞍上には天国で見守る康太騎手の兄、藤岡佑介騎手の姿もあった。

 1番人気は唯一の牝馬で、昨年末の2歳G1ホープフルSで牡馬たちを撃破してタイトルをゲットしたレガレイラ。牝馬皐月賞を勝てば76年ぶりの快挙となる。2番人気はまだキャリア3戦目ながら、前走・共同通信杯で強い勝ち方をしたジャスティンミラノ。3番人気が昨年の朝日杯を勝った2歳王者ジャンタルマンタル。共同通信杯ジャスティンミラノの2着だったことからこの人気順となった。とにかく、レースが始まれば、安全第一というわけにはいかないのが競馬というスポーツの厳しいところ。勝ち負け以上にすべての人馬が無事にレースを終えてほしいというのが多くの人の願いだったのではないか。

 レースはメイショウタバルが超ハイペースで引っ張り、前半千メートルが57秒5。ジャンタルマンタルは3番手、ジャスティンミラノは5番手あたりを進み、レガレイラは後方からのレース。

 最後の直線、失速した先行2頭に代わってジャンタルマンタルが抜け出し、後続を引き離したかに見えたが、猛然と追い込んだジャスティンミラノがゴール前で交わし、さらに外から来たコスモキュランダの猛追をクビ差で凌いで優勝。ジャスティンミラノがデビューから3戦目で皐月賞馬となった。勝ちタイムは1分57秒1のコースレコード。1番人気のレガレイラは後方から追い込みを図るも伸びきれず、6着に終わり、牝馬の優勝はならず。


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 ジャスティンミラノはキズナ産駒。これで3戦3勝。重賞は2勝目。この馬に調教で乗っていたのは亡くなった藤岡康太騎手で、1週前の追い切りにも騎乗していたのだった。鞍上の戸崎圭太騎手が勝てたのは「康太の後押しのおかげ」と語ったのが涙を誘う。


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1着ジャスティンミラノ(戸崎) 2着コスモキュランダ 3着ジャンタルマンタル

4着アーバンシック 5着シンエンペラー

 

 これは昨年秋のG1マイルチャンピオンシップ藤岡康太騎手がレース直前の騎手の負傷で急遽代わりに騎乗したナミュールを勝利に導いた一戦。そして、勝利騎手インタビュー。


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 JRAの公式ホームページの騎手名鑑からすでに「藤岡康太」の名前が消え、代わりに引退騎手のページにその名があって、亡くなった4月10日付で「引退」とだけ記されているのが悲しい。