第32回ジャパンカップ

 東京競馬場・芝2400メートルに外国馬5頭を含む17頭(しかもそのうち11頭がG1馬!)が出走した今年のジャパンカップ。先月の凱旋門賞(フランス)でオルフェーヴルを破って優勝したソレミアが来日し、オルフェとの再戦が実現したわけだが、それ以上の注目は昨年の三冠馬オルフェーヴル(池添騎乗)と今年の三冠牝馬ジェンティルドンナ(岩田騎乗)の初対決だった。3歳の牝馬ジャパンカップに出走すること自体が異例だが(過去に96年ファビラスラフイン2着、07年ウォッカ4着、09年レッドディザイア3着ぐらいか)、秋華賞を勝った後、エリザベス女王杯をパスして、JC参戦に踏み切ったジェンティル陣営の英断により、レース前からワクワクするような対決が実現したのだった。
 1番人気はオルフェ。ジェンティルはさすがに3歳の女の子ということで3番人気。2番人気はルーラーシップだった。ちなみにソレミアは7番人気。
 さて、レースは春の天皇賞ビートブラックが逃げる展開。外枠15番から出たジェンティルドンナは好スタートを決めるとスルスルと内に入り、1コーナーではもう先頭直後のインという絶好の位置取り。一方、またも大外17番枠だったオルフェーヴルは中団の外を追走。そのままレースはゆったりと進んだが、3コーナー付近からビートブラックが後続を引き離し、大きなリードを保って最後の直線へ。オルフェは4コーナーで外を回って前へ進出、ビートブラックを追い上げつつ、内へ寄っていく。少し遅れて追い出したジェンティルは徐々に失速するビートブラックオルフェーヴルに前を塞がれる形になったが(実は最ウチがガラ空きだった?)、両馬の狭間をこじ開けるように強引に突っ込み、オルフェと接触。弾かれたオルフェは体勢を崩すも、再加速。ここから三冠馬と三冠牝馬のまさに馬体と馬体をぶつけ合うような壮絶な叩きあいとなる。まさに日本の競馬ファンが期待したような激しいデッドヒート。そして、わずかに前に出たジェンティルがオルフェをハナ差で抑えて1位入線。しかし、最後の直線での岩田の強引な騎乗による両馬の接触が審議の対象となる。2年前のこのレースでブエナビスタが快勝したかと思いきや、2位入線ローズキングダムの走行を妨害したことで2着に降着となった事件を思い出す(ローズキングダムが繰り上がり優勝)。しかも、今回は加害馬と被害馬の差はわずかハナ差。結局、20分ほどにも及ぶ長い審議の末、着順通りにジェンティルドンナの優勝が確定(ただし、岩田騎手は2日間の騎乗停止処分)。これによって、史上初めて3歳牝馬によるジャパンカップ制覇という快挙が実現した。父ディープインパクトとのJC父娘制覇にもなった。接触のアクシデントさえなければ勝ったかもしれないオルフェーヴルはまたも2着に終わる(父ステイゴールドに似てきた?)。将来的にはこの2頭の激闘しか記憶に残らないかもしれないが、2馬身半差の3着はスタートでの出遅れから巻き返したルーラーシップ。結局、1〜7着までを日本馬が占め、凱旋門賞馬ソレミアは13着の大敗。


2012 ジャパンカップ

ジャパンカップパトロールビデオ 2012.11.25

 それにしても、オルフェとは4kgの負担重量の差があったとはいえ、また岩田騎手本人が「申し訳なかった」という後味の悪さが残りはするものの、先輩牡馬をふっ飛ばし、あの火の出るような激戦を制したジェンティルドンナの能力、勝負根性はスゴイというしかない。3歳秋の時点ですでにウォッカ(3歳時JC4着)やブエナビスタを超えてしまったとも言えそうだが、この先、彼女は一体どこまで強くなるのか、ますます楽しみになってきた。
 ちなみにジェンティルドンナは年末の有馬記念には出ず、年内は休養し、来年は海外進出も視野に入っているようだ。もし、彼女が今年の凱旋門賞に行っていたら、案外勝っていたかもね、と思わせるほどの強さだった。

 1着 ジェンティルドンナ(岩田)  2着 オルフェーヴル  3着 ルーラーシップ
 4着 ダークシャドウ  5着 フェノーメノ