道尾秀介『カササギたちの四季』

カササギたちの四季 (光文社文庫)

カササギたちの四季 (光文社文庫)

 カササギといってもカラス科の鳥のカササギとは関係ない。
 赤字続きのリサイクルショップ・カササギの店長、華沙々木(かささぎ)と、いつも売れないような品物ばかり高値で買い取らされてくる日暮(ひぐらし)、店に入り浸るワケあり中学生の菜美の周囲で四つの季節に起きた四つの事件をめぐる連作ミステリー。
 事件があると首を突っ込みたくなる探偵役の華沙々木の“名推理”を陰でお膳立てする日暮。華沙々木が天才的な名探偵であると菜美に信じさせることは、何やら辛い日々を送っているらしい菜美に明るく生きてもらうために必要なことであるらしい。このあたりの事情も徐々に明らかになっていくのだが…。
 傑作というほどではないけれど、ストーリーの構成がうまいし、コミカルでもあって、でも読んでいて、せつない気分になったり、ホロリとさせられたり、まぁ、いい作品だと思う。血の流れるような陰惨な事件が起きるわけではないので、気楽に読めるのもいい。