日本シリーズ第3戦

 カープの2連勝で迎えた日本シリーズ第3戦。ファイターズの選手にとっては完全アウェイの雰囲気に呑まれた形の広島から本拠地・札幌に戻って、建て直しを図る大事な試合。ただ、広島の“熱さ”とは違って札幌ドームは“温かさ”が特徴のスタジアムであり、カープの選手にとっても、やりにくさはなさそう。札幌市近郊には広島県出身者が開拓した北広島市があるし、実際、スタンドには赤もけっこう目立った。
 さて、先発はファイターズが有原。カープは今季限りでの引退を表明している大ベテラン、黒田。シリーズの成り行き次第ではこれが現役最後になるかもしれないマウンド。
 その黒田の立ち上がり。ファイターズは2番・近藤が右前打で出塁すると、3番指名打者で出場の大谷が初球を打って3塁線を破る二塁打。1死2・3塁。続く中田の遊ゴロの間に近藤が還って1点。このシリーズ初めてファイターズが先制点をあげる。しかし、黒田は続く岡を三振に打ち取り、最少失点でしのぐと、2回以降は立ち直り、鬼気迫るようなピッチングでファイターズ打線を封じていく。
 カープは1点を失った直後の2回表、鈴木が左前打で出塁すると、エルドレッドが3試合連続となる2ランホームランを放って、あっという間に逆転。広島から札幌まで勢いを持ちこんだかに見えた。しかし、この後、有原もカープに得点を許さず、黒田との投げ合いとなる。
 2−1でカープがリードのまま、6回裏。1死後、黒田からここまで2打席連続二塁打の大谷が打席に入るが、3度目の対決は浅いレフトフライで黒田の勝ち。しかし、ここで脚を痛めた黒田がいったんベンチに下がり、再びマウンドに戻ったものの、投球練習をした結果、続投不能で降板。交代したへーゲンズが中田を打ち取り、この回もファイターズは無得点。
 8回裏、へーゲンズ、今村と繋いでリードを守るカープのリリーフ陣。この回からジャクソンが登板。そのジャクソンから9番・中島が10球粘って四球を選ぶと、1番・西川が送りバントを決めて1死2塁。同点のチャンスに近藤が倒れ、打者は大谷。しかし、カープバッテリーは大谷を歩かせ、4番・中田との勝負を選ぶ。その中田が痛烈な打球をレフト前へ放ち、左翼手・松山が懸命に前進して捕球を試みるが、わずかにグラブが届かず、打球は後ろへ転々(記録は二塁打)。この間に中島、そして1塁から大谷も生還してファイターズが3-2と逆転に成功。
 ファイターズは8回から有原に代えて宮西を投入。さらに9回は谷元をマウンドに送って逃げ込みを図るが、カープも鈴木がいきなり三塁打で無死3塁の大チャンス。その後、谷元はエルドレッド、松山を打ち取り、2死まで漕ぎつけたものの、安倍に右前タイムリーを打たれ、同点に追いつかれてしまう。
 ファイターズは9回裏、大瀬良に三者凡退に打ち取られ、試合は延長戦に突入。
 10回表、ファイターズのマウンドにはバースが上がり、カープを無得点に封じると、その裏。1死から1番・西川が四球を選んで出塁。途中出場の陽が倒れ、2死1塁。打者は大谷。ここで西川が走って盗塁成功。1塁が空いたが、カープバッテリーは大谷との勝負に出る。そして、大谷は大瀬良が内角低めに投げたボール球を打ち返し、ライト前へヒット。2塁から西川が還って、ファイターズが4−3のサヨナラ勝ち。
 第1戦で負け投手となった大谷がこの試合では3番打者としてヒーローになる。インタビューで大谷が札幌で3連勝して広島へ行きたいと言ったが、どうだろう。

  勝利投手 バース1勝   敗戦投手 大瀬良1敗
  本塁打  エルドレッド3号