東京都檜原村にある都民の森での自然教室「アニマルウォッチングと冬の星座観察」(3月18日〜19日)の話。2日目の朝を迎えたところから。
午前5時過ぎの都民の森。
だいぶ明るくなって、ミソサザイがさえずりだした。ヒガラやコガラもさえずり、アオゲラの声も聞こえた。
カケスがやってきた。
亜高山帯の鳥、カヤクグリも来た。
いつもならこの時間帯にリスも姿を見せるのだが、今日は見なかった。ただ、この後、我々が野外観察に出た後に1匹やってきたらしい。
朝から快晴。
7時の気温1℃。このぐらいなら大した寒さではない。
コガラがやってきた。
ヤマガラも来た。
コガラ2羽。
コガラ3羽。
コガラトリオ&ヤマガラ。
さて、7時50分頃、朝の散策に出発。今朝は定番コースの三頭大滝方面へ。ウッドチップが敷かれた歩きやすい道で、昨日の朝は雪があったが、すっかり消えた。
奥多摩周遊道路を見渡す。空気が澄んでいれば、彼方に東京湾方面から房総半島まで見えるが、すでに春霞みの季節。クマタカを探すが、そう簡単には見つからない。
頭上にそびえるケヤマハンノキにマヒワが数羽来てわずかに残ったタネを食べていた。
針葉樹と落葉広葉樹の混交林。ここから眺める新緑はとてもきれいなのだが、一度紅葉も見てみたいものだ。都民の森には20種類ほどのカエデ類が自生している。
モミの木の赤ちゃん。
ノウサギの毛が散乱していた。猛禽にでもやられたのだろう。こういう毛はエナガなどの野鳥の貴重な巣材になる。
南秋川の源流・三頭沢の水が落下する落差33メートルの三頭大滝。
ここでもアオバトの古巣。
関東でアオバトというと神奈川県の大磯に群れで海水を飲みにくることが知られているが、都民の森のアオバトも大磯まで遠征しているらしい。アオバトはつがいで抱卵や子育てをするので、交代で大磯まで行ってくるわけだ。海で波にのまれて命を落とすことも少なくなく、親のどちらかが海に行ったままになってしまうと子育てもほぼ失敗に終わる。
同じ道を戻り、途中、キクイタダキのさえずりと姿を確認したり、ゴジュウカラを見たりしながら森林館に帰り着き、アンケートに記入したりしてイベント終了。
しかし、もう少し山歩きがしたい気分だったので、ひとりでもう一度山へ。
ミソサザイの声など聞きながら、昔の甲州道が通っていた鞘口峠まで登り、そこから尾根伝いに標高1,500メートルほどの三頭山の頂上をめざす。急な登りの連続で自然観察の余裕はほとんどなくなってきた。
鞘口峠から少し登ると眼下に奥多摩湖が見える。
時折、雪が残っていたり、雪解けでぐちゃぐちゃの泥道だったりで、歩きにくい。
それでも、大荷物は森林館に預けて身軽だったので、ほかの登山者をどんどん追い抜いて登っていく。追い抜くつもりはないのだが、道を譲られるので、仕方なく追い抜いてしまうのだ。額から汗がしたたり、目がしみる。
あたりがミズナラやカエデなどが交じるブナの天然林になり、ダケカンバも現れた。青空に伸びる白い幹が美しい。
山頂が近づいた。
尾根の片側斜面だけ雪が残っている。
11時半過ぎに山頂に着いた。森林館から1時間半ほど。
三頭山はその名の通り3つの峰からなる山で、この場所(西峰)の標高は1,527メートル(中央峰が1,531m、東峰が1,528m)。
この山に登るのは2度目。前回は2000年春のことで、世田谷区の自宅から標高1,000メートルの都民の森まで片道70キロ余りの道のりを自転車で来て、1,500メートルの三頭山に歩いて登って下りて、また自転車で家まで帰ったのだった。その時に入手した都民の森のイベント案内で夜行性動物の観察会があることを知り、その1か月後に初めて参加したのだった。
17年ぶりの三頭山頂は全体が雪解けでドロドロのグチャグチャ状態だった。前回は富士山が見えたので、期待していたのだが、今日は残念ながら全く見えなかった。もう少し早い時間なら見えたのかもしれないけれど。
(上の画面の中央に富士山がそびえているが・・・)
ということで、休むことなく下山にかかる。
下山ルートに雪が残っていると、滑りそうで困るな、と思ったが、思ったより陽当たりのよい道で、歩きやすかった。
山歩きに備えて残しておいたアンパンを齧りながら下る。
日蔭には雪がかなり残っている。
三頭沢まで下ってきた。苔がきれい。最近、苔にもちょっと興味が湧いてきた。17年前にこの辺でコマドリを目撃したのを思い出す。
カツラの巨木。
説明プレートによれば「葉は秋に砂糖醤油を焦がしたような甘い匂いを放つので「香出ら(かづら)」と呼ばれ、これが変化して「カツラ」となったと言われている」とのこと。
沢沿いに三頭大滝へ下り、先ほどみんなで歩いた道を再び通って森林館に帰り着いたら12時40分だった。13時過ぎのバスで山を下る。
下界はポカポカ陽気だった。
(おまけ)多摩動物公園からみた三頭山。