都民の森での自然観察会、その2日目は4時前には起きる。
過去の観察会で一番感動したのが、この時間帯なのだ。
一番に目覚めた小鳥が山で最初の一声を発すると、それに反応して、べつの小鳥が目を覚まし、歌い出す。また一羽、さらに一羽と歌い出し、ついには周囲を取り巻く山の全体が野鳥のコーラスでいっぱいになるのだ。ただ、それを初めて経験した時の印象が強すぎて、年によっては思ったほどではない、ということもある。それでも、この時間にぜひとも起きようと思っていたわけである。
シュラフから抜け出して、テラスに出てみると、雨は降っていないが、霧が立ち込めている。夜中でも鳴くジュウイチ(カッコウの仲間)がジュウイチ、ジュウイチと鳴きながら、山の稜線付近を飛び回っている。たぶん、多くの人は耳にしたことのない声で、それが真っ暗な上空を少しずつ移動していくのは、相当に不思議な感じなのではないだろうか。ここにトラツグミとヨタカが加わってくれると最高なのだが、今日は聞こえず。
ジュウイチの鳴く青い時間。
4時頃、ジュウイチをべつにすると、最初に声を出したのはコルリだった(と思う)。またべつのコルリも歌い出し、アカハラも加わる。アオバト、オオルリ、センダイムシクイ、ウグイス、ミソサザイ、ツツドリ、アオゲラ、ホトトギス、ヒガラ、キビタキ、ヤブサメ…。青く染まった霧の中に野鳥たちの歌声が満ち溢れていく。
この時間を体験できただけでも、来てよかった、と思う。まだ寝ている人たちを叩き起こしたいぐらいだが、しばらくはひとりで堪能する。ほかの人たちも徐々に起きてきて、口々に「野鳥の声がすごいですね」と言い合う。
(青く染まった静寂の中に野鳥たちのコーラスが響きわたる)
(霧の中で歌うミソサザイ)
森林館周辺をちょっとだけ散歩。
昨日、動物たちが現れた斜面にニホンリスとカケスがやってくる。パンくずが目当て。
窓ガラスでじっとしている蛾。
今日は晴れるはずだったのに、霧は消えかかったかと思えば、また深くなり、朝の散策に出る頃には小雨も降りだした。これでは野鳥の声は聞こえても、姿を見ることはできそうにないので、今朝の野外観察もちょっと歩いただけで切り上げる。
(サワグルミの木)
ところが、森林館に戻ったところで、上空に青い色がのぞき、劇的に晴れ間が広がってきた。あまりの天候の激変ぶりだが、それはそれで感動的でもあった。
(劇的天候回復)
途端にアオバトがたくさん飛び、縄張りを争うように2羽が鳴き交わすツツドリの姿も確認できたし、光線の具合はイマイチながら、オオルリも見ることができた。
森林館にはゴジュウカラやシジュウカラ、コガラ、ヤマガラ、カケスなどがやってくる。
ゴジュウカラ。
コガラ。
山の稜線の木で鳴くツツドリ。
このイベントも10時に終了。しかし、せっかくよい天気になったし、また三頭大滝のちょっと先まで歩いてきた。
またジムグリを見たほか、トカゲも2匹。
(イヌブナの若葉)
(ジムグリ)
(尻尾が切れたトカゲ)
ピカピカの新緑に輝く山の散策を楽しんで、昼過ぎのバスで都民の森をあとにする。
奥多摩周遊道路を下るバスがすれ違うのは車よりもバイクよりも自転車が多かった。僕もここは何度か走ったが、見ていると、ウズウズしてくる。