郵便車ポスト

 品川駅にある郵便ポストならぬ郵便車ポスト。いや郵便ポスト。

 もちろん本物の郵便ポストなので、郵便物を投函できる。
 車体には「クモユニ74001」という車両番号もついている。

 クモユニの「ク」は運転台のついている車、「モ」はモーターのついている車、「ユ」は郵便車、「ニ」は荷物車を意味する。つまり「クモユニ」だと郵便荷物車で、乗務員以外の人間は乗れない。ちなみに旅客用は普通車が「ハ」で、グリーン車が「ロ」。普通車は昔の三等車なので、イロハのハだ。運転台もモーターもついている普通車だとクモハですね。ほかにも運転台もモーターもない「サ」とか、ディーゼルカー気動車)の「キ」とか、寝台車の「ネ」とか、食堂車の「シ」とか・・・。「ハネ」だとB寝台。
 電車に乗るとき、静かなほうがよければ「サハ」に乗ればいい。鉄チャンの中には「このモーター音がたまらん」といって「モハ」にしか乗らないという人もいるみたいだけれど。
 国鉄時代は荷物や郵便輸送を鉄道が担っていたので、ローカル線でも郵便車や荷物車が連結されていて、郵便車内では職員が仕分け作業をして、駅ごとに郵便を積み下ろすなんてことをしていた。
 ついでにいうと、荷物車は貨物列車と違って、1両の荷物車にいろいろな駅宛ての荷物が積まれていて、駅ごとに荷物を下ろしたり、積んだりしていた。それに対して貨物列車は車両ごとに行き先が決まっていて、駅に着くたびに貨車を切り離したり、また連結したりしていた。のどかな時代だったなぁ。

 ところで、ポストの横に「0km品鶴線、0km山手線」と書かれたものがある。これは距離標で、起点駅からの距離が表示されている。通称「キロポスト」。
 品鶴線とは品川と鶴見を結ぶ路線で、もともとは貨物専用線だったが、今は横須賀線湘南新宿ラインなどの列車も走っている。その起点が品川駅というわけだ。
 では山手線は? 山手線といえば都内をぐるぐる回り続ける環状線だが、起点は品川なのだ。で、渋谷、新宿、池袋を通って田端が終点。山手線という路線は正式には環状線ではないのだ。では、残りの区間はというと田端から上野を通って東京までが東北本線、東京から品川までは東海道本線だ。知らなくてもいいような情報ばかりですね。

 田端駅の1番線の線路際にある「鑑賞池」。山手線が台地から昔は海だった東京低地に下ったところにあるのが田端で、まさに崖下の駅。その崖から湧き出た水を集めた池で、大きな金魚が泳いでいる。でも、金魚の数がずいぶん減ったような気がする。みんな大きいから高齢金魚ばかりなのか?

 結局、山手線というのは昔は海辺の駅だった品川からスタートして東京の山の手地区を走り、低地に出たところで終点なのだ。だから山手線。
(きょうの1曲)Pat Metheny Group/Last Train Home