御岳山

 紅葉の山を歩きたくなり、奥多摩の御岳山(929m)に行ってきた。
 青梅線は登山客で混雑していて、御嶽駅でもたくさんの人が下車。外国人も多い。駅前からケーブルカー乗り場までのバスも満員だろうから、歩いていくことにする。最近、江戸や明治の紀行をいろいろ読んだので、少しぐらいの距離なら歩きたいという気持ちが強くなっているのだ。
 御岳橋から見下ろした多摩川

 多摩川右岸の道を上流に向かい、左折して急な坂道を延々と上ると、標高400メートルほどの滝本駅に着く。30分ちょっと歩いただろうか。けっこう汗をかいた。

 このままケーブルカーに乗らずに歩いて登ってもいいな、と思ったが、もう11時半近くなので、時間を節約するためにケーブルカーに乗車。ちょうどバスの到着の合間の便だったので、意外に空いていた。

 往復乗車券1110円。
 あっというまに標高831メートルの御岳山駅に到着。
 展望台からの眺め。

 白樺の黄葉。

 ここから山上の集落を途中、ビジターセンターに立ち寄ったりしながら武蔵御嶽神社まで歩く。ヤマガラがいた。
 樹齢1000年という神代欅。ムササビも棲んでいるらしい。

 もう正午なので、とろろそばの昼食。刺身こんにゃく付き。


 御岳山の頂上にある御嶽神社

 御朱印をいただく。僕は御朱印というとお寺のイメージが強くて、神社の御朱印茨城県筑波山神社に続いて2か所目だと思うのだが、最近の御朱印ブームはむしろ神社のものを集めるのが主流らしい。お寺より神社のほうが縁結びとか合格祈願、商売繁盛、健康長寿など現世利益に結び付いているからだろうか。お寺は大体どこも300円だが、ここは500円だった。しかも、繁忙期だからか、あらかじめ用意された紙を朱印帳に貼り付けるタイプ。その場で書いてもらうのより、ちょっと有難みが劣るような気がしないでもない。

 神社参拝のあとはロックガーデンへ向かう。昨年の初夏に友人たちと歩いた場所である。
 神社から杉林の中、段差の大きい階段をどんどん下る。下りもけっこう足に負担がかかるが、上ってくるのも辛そうだ。
 沢を渡り、まもなく「七代の滝」に着く。

 写真には人が写っていないが、大勢のハイカーで賑わっている。

 この滝の水は養沢川となって秋川渓谷へと流れていく。養沢方面へ下るのも面白いな、と思ったのだが、手元にケーブルカーの往復乗車券がある。
 七代の滝から鉄製の階段を上ったりして、滝の上に出ると、天狗岩。そこからいよいよロックガーデンだ。安っぽい名称なので、馬鹿にしていたが、昨年、初めて散策したら、渓流沿いのいい遊歩道だった。青森県奥入瀬渓谷に似ていると言われるそうだが、僕は奥入瀬には行ったことがなく、屋久島の白谷雲水峡を思い出した。前回は新緑が美しかったので、今回は紅葉を期待していたのだが、やや盛りを過ぎてしまっただろうか。まだきれいな木もたくさんあるが、地面にも色あせた落ち葉が積もっている。




 いろいろな苔が岩を覆っている。





 「お浜の桂」。推定樹齢300年。高さ38メートル、目通り4.0メートル。

 もうすっかり葉を落としてしまっているが、桂の落葉の甘い香りは漂っていた。
 「綾広の滝」。

 滝の前で小学生の女の子が上を向いて口を大きく開けている。母親がそれをスマホで撮影している。滝の水を飲んでいるように見える写真を撮ろうというのだろう。ジャンプしている瞬間を撮ろうとしている親子もいる。観光客の生態が変化してきたなと思う。

 行者の水行の場にもなっているようだ。ここで滝に打たれようものなら、観光客の絶好の被写体になりそうだ。

 ロックガーデンはこれでほぼ終わり。ここから少し上ると、わりと歩きやすい道に出て、神社方面に戻れる。
 ミソサザイの地鳴きを聞く。ほかにメジロコゲラ、カラ類など。
 賑わっている綾広の滝。

 彩りの道。





 「天狗の腰掛杉」。

 リンドウが咲いていた。

 河童のベンチ。

 フクロウのベンチ。

 午後の神代欅。

 紅葉。ウグイスの地鳴きやカケスの声を聞く。


 上空を飛ぶ旅客機。

 またケーブルカーで山を下り、再び御嶽駅まで歩く。


 御嶽駅には16時20分頃に着き、青梅線南武線小田急線を乗り継いで帰る。