新緑の多摩丘陵を歩く(3)

 5月3日に多摩丘陵を歩いてきた話の続き。

 町田市小野路宿から万松寺谷戸、小野路城址を経て無人の山中を抜け、これも誰もいない町田市図師町の白山谷戸へ下ってきたところから。

 ここが室町時代に道興准后が宿泊した半沢である。この付近のどこかに修験者のいる僧坊があったはずなのだ。

 道興は半沢にて「水なかば沢べをわくやうす氷」という句を詠んでいる。

 集落の西側を南北に走る古道があり、これは奥州古道であるという。都から通じ、足柄峠を越え、矢倉沢を経て関東に入り、相模国府を通って、武蔵国府、そして奥州へと向かう道筋である。

(奥州古道と考えられる道)

 鎌倉時代の道よりも古く、軍事的な要素が少ないため、くねくねと曲がりくねりながら続く古道の現代版といえる通りに出て、まもなく結道(ゆいどう)のバス停がある。旧図師村の古い集落である。歴史研究家の河合敦氏がこの結道を戦国時代にこの地方を支配した北条氏照の城がある由井(現・八王子市)へ通じる道という解釈をしているのが興味深い。

 結道の石仏群。中央の地蔵は1980年の新しいものだが、向かって右の馬頭観音1830年、左の念仏供養塔が1740年、その後ろの六地蔵1820年のもの。

 また古い石仏がひっそりと並んでいた。

 奈良杯谷戸へやってきた。ウグイスが盛んにさえずっている。

 レンゲが咲いていた。

 ここでもカワトンボ。

 ここでは里山の自然や文化を守る活動が盛んで、散策を楽しむ人もちらほら。多くはないが、全く人がいなかった白山谷戸に比べれば、寂しくはない。

 2月の奈良杯谷戸

 上と同じ場所で撮影。

 野鳥、昆虫、トカゲ、カエル。たくさんの生き物がいて、こういう場所はずっと歩き回っていたくなる。

 それでも谷戸をあとにバス通りを北へ行くと、下小山田で今年初めてキビタキの声を聞いた。町田市から多摩市に入り、再び多摩よこやまの道に出合う。小田急線・唐木田駅まで歩いてゴール。

 自宅から自宅で26,537歩。

 

(きょうの1曲)赤い鳥/みちくさ


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