地球のまるく見える丘

 8月4日に千葉県の銚子に出かけた話の続き。銚子電鉄の終点、外川駅から歩き、2億年前の岩石が露出した千騎ヶ岩や犬岩、300万年前の地層が見られる屏風ヶ浦を見物したところから。

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 屏風ヶ浦の海食崖の途切れる地点で海岸を離れ、名洗の集落を歩く。やがてバス停があり、銚子駅との間にバス路線があることは分かったが、もう一カ所、行きたい場所がある。とりあえず、勘を頼りに歩く。

 まもなく、この夏初めてツクツクボウシの声を聞いた。今日もニイニイゼミアブラゼミ、ミンミンゼミは至るところで鳴いているし、鹿島神宮クマゼミ、ヒグラシの声を聞いたので、これで関東の平地で聞けるセミはコンプリートだ。

 それにしても、あまりに暑いので、セブンイレブンを見つけて、ちょっと休憩。ガリガリ君を買う。

 日傘をさして、どんどん溶けるガリガリ君を食べながら歩いているオジサンというのは、傍からみてどうなのか、と思うが、ほかに歩いている人はいない。クルマは通るが・・・。

 「地球のまるく見える丘」の案内を見つけ、それに従って坂を登っていくと、やがて銚子の最高峰、愛宕山に着く。最高峰といっても、標高は73.6メートルに過ぎない。それでも、房総半島南部を除く千葉県の北総地域では最も高い。ちなみに房総半島にも標高408メートルの愛宕山があり、これが千葉県全体の最高峰であるが、47都道府県の最高峰の中では最も低い山である。千葉県は47都道府県の中で平均標高が最も低い県なのだ。

 愛宕山山頂の一等三角点「高神村」。1892年設置。標石は花崗岩。標高73.62m。

 ところで、この愛宕山も千騎ヶ岩や犬岩と同時代、およそ2億年前と推定されるジュラ紀の岩石でできた山であり、プレートに乗って遠洋から運ばれてきた、より古い時代の石灰岩やチャートが含まれているという。

 愛宕神社の石祠。

 日比友愛の碑。第二次世界大戦で不幸にも戦火を交えた日本とフィリピン、両国民の友愛を祈念するモニュメント。フィリピンのマヨン山の方角を向いて建てられた。1958年建立。

 愛宕山の頂上には「地球のまるく見える丘展望館」がある。入館料は420円だが、銚子電鉄の「弧廻手形」を呈示すると50円引きの団体料金で入ることができた。

 その屋上が展望台になっていて、標高は90メートル。ここからぐるりと見渡す360度の展望のうち、330度が海。水平線。地球のまるく見える丘の名に恥じない素晴らしい眺めである。


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 北は鹿島灘から利根川河口の銚子港、犬吠埼、外川、屏風ヶ浦九十九里浜まで。

 犬吠埼

 沖合を行く大型船。

 海外から飛んできたらしい旅客機。

 犬吠崎の南方、長崎鼻方面。

 長崎鼻の近くにある岩、「宝満」。九郎判官・義経が身を隠したという伝説から、「ほうがん」が訛って「ほうまん」になったという。

 その伝説はどうでもいいが、この岩体は2000万年前、大陸が激しい噴火を繰り返しながら裂けて、その裂け目が拡大して日本海となり、日本列島が大陸から離れた頃に噴出した溶岩が冷えて固まった安山岩で、マグネシウムの含有率が高い高マグネシウム安山岩だという。

 千騎ヶ岩・犬岩方面。

 屏風ヶ浦

 晴れていれば、約200キロ離れた富士山も見えるが、地球が丸いので、山麓は水平線に隠れて、ここからは富士山の上のほうしか見えないという。

 できれば夕日が沈むまで待ちたかったが、まだ2時間以上あるので、展望台をあとにして、坂を下っていくと、15分ほどで踏切が見えて、すぐそばに外川駅があった。16時41分発の電車がまもなく発車だ。

 16時41分に外川を発車。

 行き違い可能な笠上黒生(かさがみくろはえ)駅。頭皮頭髪ケアの会社がネーミングライツを取得して「髪毛黒生(かみのけくろはえ)駅になっている。

 樹木のトンネルを行く。

 このまま銚子駅まで戻ってもよかったが、本銚子で下車。

 本銚子の駅名標。もう本当の駅名が何なのか、さっぱり分からなくなっている。

 両隣は観音と笠上黒生である。

 こちらが昔からの駅名標

 あとで知ったのだが、小さな駅舎(待合室)は老朽化していたのをテレビ番組の企画でヒロミと地元の小学生たちがリフォームしたらしい。

 「電車を止めるな!」は施設の老朽化に悩む銚子電鉄興行収入を改修費に充てようと制作した映画(原作:寺井広樹、2020年公開)で、コメディタッチのホラー作品だそうだ。

 次の電車まで50分ぐらい待つので、歩く。銚子駅まで歩いても、3駅だから大したことはない。

 町並みの向こうに海が見える。

 石仏。

 観音駅を過ぎて仲ノ町駅までやってきた。駅の前も後ろもヤマサ醤油の工場である。ここに車庫があり、大阪の南海電鉄から来た電車が留置されていた。

 隣には元京王電鉄5000系。

 線路際に咲くヒマワリ。

 この看板は久しぶりに見た。クルマで駅見物に来ていた家族連れのお父さんが「これ、けっこう高いんだよな」などと言っていたが、いざとなったら売れば、鉄道経営の足しになる?

 仲ノ町駅には銚子電鉄本社もある。本社といってもビルではなく、駅舎と一体の古い木造建築。

 南海、京王に地下鉄丸ノ内線の電車もいた。

 結局、銚子駅まで歩いて戻り、千葉行きの電車まで少し時間があったので、利根川を見てくる。駅前通りをまっすぐ歩いて、片道650メートル。

 群馬県に源を発し、関東平野を流れ下ってきた坂東太郎・利根川。広い川幅が海に出る地点で狭くなり、その形状が酒器の銚子に似ているというのが銚子の地名の由来だそうだ。

 銚子大橋の夕景。対岸は茨城県神栖市

 銚子駅に戻り、18時21分発の総武本線経由の千葉行きに乗車。

 途中、車窓に真っ赤な夕陽が見えて、愛宕山から眺めたかったと改めて思った。

 20時着の佐倉で先発の東京行きに乗り換え、錦糸町、お茶ノ水で電車を乗り継ぎ、新宿から小田急で帰る。22時帰宅。 

 32,683歩も歩いてしまった。