上総鶴舞駅から14時45分発の養老渓谷行きに乗って、里見駅へ。
里見駅は一時は合理化で駅員がいなくなっていたが、2013年3月から再び有人駅となり、同時に列車の行き違い設備も復活した。
それまで上総牛久〜上総中野間に行き違い設備がなく、上総牛久を発車した列車が終点まで行って戻ってくるまで、次の列車がこの区間に入ることはできなかった。牛久〜中野間は片道45分ほどだから、折り返し時間も含めて往復に1時間40分ぐらいかかる。つまり、そのぐらいの間隔でしか列車を運行できなかったのだが、途中の里見で行き違いができるようになったことで、列車の増発が可能となったわけだ。地元の小学校の統合で列車通学の生徒が増えたことから里見駅に再び駅員が配置されることになったと聞いた。
さて、その里見駅で上り列車と行き違いがあった。ここでの見どころはタブレット交換である。
鉄道用語での「タブレット」(通票)とは単線区間の通行手形のようなものだ。1区間に1つのタブレットしかなく、それを持たなければ列車はその区間に進入できないようにすることで列車同士の衝突を防ぐ、古めかしい仕組みで、今どきこんなことをやっているのは小湊鉄道ぐらいではないか。
先に到着したのは僕が乗ってきた養老渓谷行き。
駅員さんが運転士から上総牛久〜里見間のタブレットを受け取り、上りホームへ向かう。
(上りの五井行きがやってきた)
そこにやってきた上り列車・五井行きの運転士から里見〜上総中野間のタブレットを受け取り、里見〜上総牛久間のタブレットを渡す。これで五井行きは発車可能になるわけだ。
(上り列車とのタブレット交換)
あとから来た上り列車がタブレット交換を終え、先に発車していく。
駅員が戻ってきて、五井行きがもってきた里見〜上総中野間のタブレットを養老渓谷行きの運転士に渡し、これで下り列車もようやく発車できる。
なぜ、こんな手間のかかることを未だにやっているのか、謎である。やはり古き良き時代の鉄道文化を残していこうという一種の文化財保護運動なのだろうか、と思ってしまうが、どうなんだろう。
とにかく、列車が行ってしまった。今の列車が養老渓谷まで行って折り返してくるまで、次の列車はない。ということで、その間に里見駅から隣の高滝駅まで歩くことにする。
途中で仮面ライダーがいた。V3かな?
養老川をせき止めた人造湖・高滝湖。
再び高滝駅にやってきた。今日はこんなに歩くつもりはなかったのだが、けっこう歩いた。
15時56分発の五井行きがやってきた。当然ながら里見で降りたのと同じ車両、同じ乗務員である。乗り込むと、本来なら車掌が検札に来るはずだが、来ないのは、僕がさっき里見駅で降りた客で、フリー乗車券を持っていることも分かっているからだろう。乗客が少ないので、すぐに顔を覚えられてしまうのだ。
とにかく、もうどこにも寄り道せず、そのまま五井駅まで乗り通し、小湊鉄道の旅をおしまいにする。
夏の一日、こんなローカル線に乗って、無為な時間を過ごすのも一興かと思います。鉄道存続のためにも、ぜひ…。