大山(その2)

 昨日の大山登山のおかげで朝から両足が筋肉痛。階段の上り下り、特に下りがつらい。こんな筋肉痛は久しぶりだが、少しは筋肉が鍛えられたことであろう。

 というわけで、昨日の大山登山の話の続き。

 

 阿夫利神社下社から登拝門をくぐり、標高1,252メートルの山頂をめざす。現在、時刻は8時40分。山頂まで90分だそうだ。

 この先は江戸時代には禁域として門が固く閉鎖され、旧暦6月27日から7月17日の夏山の時期のみ登拝が許され、しかも女人禁制だった。

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 いきなりの長くて急な石段。しかも石が傾いている部分もあり、バランスを崩すと転落しそうでもある。手すりにつかまりながら登る。この手すり、前回はかなり老朽化していた記憶があるが、新しくなったようだ。

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 石段を登りきると、「阿夫利大神」と刻まれた石柱があり、そばには「野生の鹿が出没します」という注意看板が立っている。すでにシカは6頭目撃したが、すべてメスだった。立派な角を持ったオスにも遭遇してみたいものだ。

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 その先も急な上りが多く、大小の石や岩が階段状に配されており、なるべく段差が少ないところを探しながら、張り出した木の根や転がっている岩石につまずかないように注意しながら登るので、足元ばかり見つめていて、あまり風景を楽しむ余裕はない。もとより杉などの針葉樹が多く、さほど景色はよくないが、それでも時折、木立の間から下界が望まれ、相模平野や相模湾が見える。ただ、相変わらず全体的に霞んでいる。

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 登拝門から山頂までは28の区間に分けられ、一丁目、二丁目、三丁目・・・と刻まれた標柱が立っているので、これを励みに登り続ける。

 八丁目にそびえる夫婦杉。樹齢は五、六百年という。

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 十四丁目には「ぼたん岩」。地面に露出した岩に球状の不思議な石がいくつも見られる。

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 どうしてこんな形の石があるのかと調べてみると、平塚市博物館のホームページに解説があった。一般的には「タマネギ石」と呼ばれるものだそうで、丹沢が隆起して、凝灰岩類が地表に露出してから風化作用(物理的・化学的作用)によって形成されたものだという。地中ではプレートの動きなどでさまざまな圧縮力がかかっていたのが、地表に出ることで解放され、三方向の節理(割れ目)ができ、この節理に囲まれた石が雨水や地下水、あるいは酸素や二酸化炭素などに晒されて風化が進むと、タマネギのような形状になるというのだが、わかったような、よくわからないような・・・。

平塚市博物館

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 十五丁目の「天狗の鼻突き岩」。

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 十六丁目では秦野市の蓑毛から登ってきた道が合流。ここには「十六丁目追分の碑」が立っている。

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 ここにはベンチもあり、ようやく朝食休憩。時刻は9時15分。

 10分休んで、再び歩き出す。このあたりから針葉樹林帯を抜けて落葉広葉樹の林になり、雰囲気も明るくなる。赤や黄色に色づいた木々が美しい。

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 標高が高くなるにつれ、紅葉も終わり、すっかり葉を落とした木々も増えてきた。

 右下の斜面には山頂へ物資を運ぶための簡易モノレールが設置されている。

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 二十丁目が標高1,062メートルの富士見台。富士山の展望地として古くから知られ、かつては茶店もあったという。今日は残念ながら富士山は雲に隠れ、山頂の一部がちらりと一瞬だけ見えたが、それもすぐに雲の中に消えてしまった。

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 モノレールが上ってきた。おじさんとおばさんが大荷物とともに乗っている。山頂の売店と神社を管理している人たちだろう。おじさんは新聞を広げている。そういえば、最近、通勤電車で新聞を読む人はほとんど見なくなった。

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 相変わらず道は険しいが、もう山頂は近いな、という気分にはなってきた。それに山頂に立てば、あとは下るだけなので、時間はたっぷりある。急ぐ必要もない。

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 鳥居が見えてきた。阿夫利神社奥の院のある山頂まであと少し。

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 最後の鳥居をくぐり、二十八丁目、山頂に到着。時刻は10時ちょうど。

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 山頂にはタカオカミ(神仏習合時代には小天狗)を祀る前社、大山祇神(石尊大権現)を祀る本社、一番上に大雷神(オオイカツチ、大天狗)を祀る奥の院がある。しかし、古くからの霊峰の頂きというわりには神聖な雰囲気はあまり感じられない。昔は違ったのだろうか。

 それにしても、人が多い。高尾山ほどではないが、けっこうな賑わいで、朝食なのか、昼食なのか、おにぎりやカップラーメンを食べている人が多い。

 本社の前にはご神木で「雨降木」と呼ばれるブナは生えている。眼下に広がる風景は霞んだままで、相模湾に浮かぶ江ノ島が辛うじて判別できる程度。

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 座る場所もないので、休むこともできず、とりあえず奥の院を拝んだだけで、くだりにかかる。今度は別ルートで、これまで行ったことのない日向薬師へ下ろうと思っている。ここから6.5キロの道のりである。

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ということで、つづく。