DOOPEES/Doopee Time〜Time in the Air (1995)

DOOPEE TIME

DOOPEE TIME

 謎の少女キャロライン・ノヴァクを主人公にしたヤン富田プロデュースによるポップ・グループ、ドゥーピーズ。ヤン富田の前作ASTRO AGE STEEL ORCHESTRA/Happy Living(1994)で初めて登場したが、その中で「私たちはこのCDの中に住んでいるから、会いたくなったら、また聴いてね」などといっているように、ドゥーピーズはいわば架空のグループである。ジャケットに女の子の写真が載っているが、キャロライン自身も実在しない架空の少女であり、彼女の愛くるしい声はバッファロー・ドーター大野由美子の声を電気的に加工して作られたものである。
 アルバムはキャロラインがお姉さん的存在のスージーたちに導かれつつ時間と空間を超えた旅を通じて精神的に成長していくというストーリー仕立て。音楽的には実験的要素も盛り込みながらも、全体としては美しいポップアルバムで、音のワンダーランドをキャロラインたちと共に旅しているような気分にさせてくれる。ラストのビーチボーイズのカバー“Caroline,No”が終わった時、確かにもう一度キャロラインたちに会いたくなる。