ブルートレイン「北斗星」

 上野駅で列車の発車案内に「北斗星」の文字を見つけて13番ホームへ行ってみた。
 上野駅というと東京下町の空気と北国の空気が入り混じって熟成したような独特の空気感が魅力だったが、今はそんな感じも薄れてしまった。それでも、高架下のほの暗い13番ホームは独特の雰囲気で、もし「あなたの好きな駅のホームは?」と聞かれたら、僕は迷わず「上野駅の13番ホーム」と答えるだろう。こんな質問をされることは絶対にないけれど…。
 ところで、上野と札幌を結ぶ寝台特急北斗星」は今年3月のダイヤ改正で定期運行を終了したが、まだ臨時列車として細々と走っているのだ。この日も寝台はけっこう埋まっているようだった。


 乗客も多いけれど、写真を撮っている人もとてもたくさんいた。昔はそういうのはいかにも鉄チャンといった風情の男ばかりだったが、最近は女性も意外に多い。
 先頭に立つ機関車はEF510-510。


 昔は上野駅からたくさんの夜行列車が東北や上信越、北陸方面に向けて次々と出発していたものだが、そういう時代はすっかり過去のものになってしまった。
 行き止まり式の13番線。僕にとっては青森行きの急行「八甲田」の発車ホームとして思い出深い。

 僕が着いた時はすでに列車が入線していたが、どうせなら尾久の車両基地から機関車が後押しする推進運転で客車の列がゆっくりと入ってくるところを見たかった。これから始まる夜の長旅を前にワクワクしたものだ。

 今は使われていない右側のホームはかつては荷物用だった。かつての長距離列車には客車のほかに荷物車や郵便車が連結されているのが普通で、ここで積み込み作業をやっていた。昭和の国鉄時代の話。

 僕もブルートレインは何度か乗ったけれど、「北斗星」は一度も乗らなかった。そういえば、北海道の帰りに乗ろうとしたらチケットが取れなかったということがあったな。
 ちなみに僕が初めて乗ったブルートレイン東北新幹線開通前、仙台発上野行きの寝台急行「新星」。最後に乗ったブルートレインは熊本から乗車した東京行きの「はやぶさ」。廃止の少し前で、近くで見ると、塗装が剥げて、ずいぶんみすぼらしかったのを思い出す。

 ロビーカー。

 食堂車スシ24-507。


 ブルートレインの最後の雄姿。