小湊鉄道の旅5(最終回)

 7月8日に千葉県の小湊鉄道を旅した時の話の最終回。

 養老渓谷駅から上総牛久駅までのんびり走るトロッコ列車の旅を堪能して、もう夕方だし、普通ならあとは帰るだけなのだが、16時32分発の養老渓谷行きに乗って、2つ目の上総鶴舞駅で下車。

 大正14年の開業時の姿をほぼそのまま留めている駅で、駅舎と貨物上屋、旧鶴舞発電所の3つの建造物が国の登録有形文化財になっている。


 今日も午前中、映画の撮影が行われていたらしい。


 出札窓口。今は無人で、ここで切符を買うことはできない。

 駅事務室。昭和のテレビ。


 駅前から出るバスは平日2便、土曜・休日は1便。




 ずっと変わらない鶴舞駅だが、個人的にショックだったのは駅舎脇に高くそびえていたノウゼンカズラがなくなってしまったこと。伐られてしまったのだろうか。
 1995年の夏に初めての自転車旅行でこの駅を通りかかった時、駅に咲くいかにも夏らしい南国的なオレンジ色の花が印象的だった。旅行後に調べてみて、僕は初めてノウゼンカズラという花の名を知り、その後、自分でも育てるようになったわけだが、その思い入れのある鶴舞駅ノウゼンカズラが消えてしまった。
 ただ、この植物は案外しぶとくて、地中に少しでも根が残っていれば、どんどん生えてくる。実際、駅舎脇の雑草の間から何本も芽を出し、茎をのばしている。また盛大に花を咲かせる日が来るかもしれない。
 過去の写真から上総鶴舞駅ノウゼンカズラ


 駅舎脇の木はなくなったが、旧上り線ホーム上のノウゼンカズラは健在。

 国登録有形文化財の旧鶴舞発電所。開業当初、小湊鉄道各駅の電灯用に発電し、さらに沿線の村にも電力を供給していた。

(2015年7月撮影)
 これも文化財の貨物上屋。ここで鶴舞駅発着の貨車の積み下ろしをしていたのだ。

 鶴舞駅では今は駅舎のある1番線しか使用していないが、もともとは3番線まであった。かつては上り下りの列車行き違いだけでなく、貨物列車が旅客列車をやり過ごすなんてこともあったのだろう。



 ホームの片隅に咲くカンナ。

 列車が来た。



 上総鶴舞駅で23分間の滞在を終え、17時01分発の五井行きに乗り込み、そのまま終点まで。
 五井到着は17時38分。


 小湊鉄道の旅、今回はこれにておしまい。