甲府盆地の端っこサイクリング(その2)

 10月9日、体育の日。青梅街道の柳沢峠を越えるつもりで山梨県までやってきたわけだが、予定変更で甲府盆地内をウロウロしている。甲斐大和駅をスタートして、勝沼を経て、山梨市までやってきたところから。
 それにしても、周囲をぐるりと山に囲まれて、しかも山の姿がそれぞれにいい。山梨はいいところだな、と思う。山梨市といえば、最近、市職員採用試験での不正問題によって市長が逮捕されて話題になったばかりだが。
 山梨市駅前をあとに笛吹川を渡り、万力公園というところにやってきた。ここには動物園があるらしい。動物園好きとしては立ち寄らねばなるまい。

 木々の間をシジュウカラエナガが飛び回っている。
 「万力動物広場」の入口の前にはニホンジカの放飼場。けっこう広い。井の頭や多摩のヤクシカより大きいホンシュウジカが飼育されている。



 園内にはシマリスやヤギやニホンザル、ウサギ、マーラ、セキセイインコオカメインコ、カメなど地方の小動物園らしいメンバーがいたが、なかでも人気はアライグマらしい。

「〇〇すぎる、アライグマ!」「すいません、基本小屋で寝ています!」の文字がまず目に入る。「TV、ネット等で大人気!!」だそうだ。
 よくみると、「大きすぎると話題なアライグマの『ぷうた』君。グウタラで寝てばかりで見る事ができない事があります」とのこと。
 どれどれ、と覗いてみてビックリ。本当にでかい。まるまると太ったアライグマ。ちゃんと外に出ていた。


 これが「ぷうた」か。あしあとが可愛い。
 寝小屋の中にもう1頭いる。こちらは「ぽんた」で、普通のサイズか。

 と思ったら、「ぽんた」もけっこうでかい。



 餌を洗って食べる「ぷうた」。太っているというより、太らせすぎのような気がしないでもない。




 カピバラも人気。水中を覗けるようになっていたが、この時は水に入らず。

 置物のようなフラミンゴ。

 本物である。


 インドクジャク

 さて、走っていると、甲州名物「ほうとう」を出す店がたくさんあり、心を惹かれるのだが、山登りに備えておにぎりを買ってしまったので、万力公園のベンチでそれを食べて、荷物を減らして、また走り出す。
 次にめざすのは山梨市駅前の観光案内所のおばちゃんに勧められたフルーツ公園である。山の上にあるらしいが、おばちゃんは僕が自転車であることを承知の上で勧めたわけだから、なんとかなるだろう。それにしても10月とは思えないほど暑い。
 市街地を抜け、フルーツ公園の案内標識に従って、また上り。扇状地の上にあるらしい。再び周囲はぶどう畑ばかりになった。ちなみに平地は桃の畑ばかりである。
 これは街灯なのか? 夜は点灯するのだろうか?

 側溝のふたもフルーツ。

 街灯は途中から、これ。なんだろう?

扇状地の斜面は見渡すかぎりのぶどう畑。 

 「名前のない展望台」。ただ休みたくて立ち寄る。景色はいいが、暑い。この日の甲府市の最高気温は28.2℃。勝沼は27.1℃。


 ぶどう畑。

 直売所。

 途中で「ぶどう食べ放題。30分1900円」というのがあった。持ち帰りはまた別料金なんだろうね。
 すっかりバテて、笛吹川フルーツ公園に到着。標高は600メートル以上の急傾斜地に造成された公園。ここからの夜景は「新日本三大夜景」のひとつに選ばれているらしい。それは綺麗だろうなぁ、とは思う。
 自転車で来ているのは僕だけのようで、駐輪場も見当たらないので、トイレの裏に自転車を残して園内散策。


 カツラの木がきれいに色づいていて、ハート形の黄葉がキャラメルのような甘い香りを放っている。


 リンゴもなっている。



 公園内には「ウォーターガーデン」や「アクアアスレチック」もあり、子どもたちがびしょ濡れになって水遊びに興じている。10月とは思えない光景だ。


 ブドウは至るところに実っている。手が届きそうだが、もちろん勝手に食べてはいけない。しかし、野生の猿でも出てきたら、あっという間に全部食べられてしまいそうでもある。時折、どこかの農園からか爆竹のような破裂音が聞こえてくるのは、猿除けだろうか。

 園内は高低差が大きいので、下の駐車場から一番上までロードトレインというのが運行されている。







 ブドウやナシ、桃、リンゴなどの果樹園の中をどんどん上っていくと、富士屋ホテルや温泉施設、物産館などがあり、足湯もあった。「恋人の聖地」という夜景をバックに写真が撮れるスポットもある。

 ここまで登ってくると、それまで雲に隠れていた富士山が山の彼方に姿を見せた。ここからだと裾野は見えない。
 100円の足湯で富士山を眺めながら休憩(座布団付き)。お湯はややぬるめだが、今日はそれが嬉しい。



 足湯でのんびり時間を過ごし、また坂や階段を下って、途中、「くだもの館」の展示室(果物についての科学、歴史、文化に触れられる展示スペース)で、フルーツ公園の写真展なども見て、フルーツ公園をあとにまた自転車の人となる。
 帰りは延々と下りだ。今日は上ったり下ったりで、平坦な道はあまり走っていない気がする。山梨市駅から電車で帰ってもいいが、もう少し走ろう。甲府までは行かないまでも、石和あたりまでなら余裕で行ける。行っても、温泉につかるわけではないけれど。
 山梨市〜春日居町間の跨線橋から。

 同じ場所からフルーツ公園を眺める。扇状地特有のなだらかな斜面に見えるが、自転車で上ると大変だったのだ。

 春日居町駅付近の踏切より。

 このあたりは平地で、桃畑ばかり。
 春日居町駅前のトイレ。春日居町は以前は別田(べつでん)という駅名だった。

 桃畑の中を坦々と走って、石和温泉駅北口に到着。温泉街は南口にあるようで、北口には何もない。
 ちなみに石和温泉駅も以前は単に石和駅だった。

 自転車を分解・袋詰めして16時06分発の高尾行きに乗車。今日はものすごい数のブドウを見たけれど、一粒も口にしなかった。

 今日の走行距離はたった40キロ。