Acoustic Asturias & Quartet Asturias

  昨日(11月19日)、吉祥寺のStar Pine’s CafeでAcoustic AsturiasとQuartet Asturiasのジョイントライヴ。

 そもそもAsturiasというのは大山曜氏が職業としての音楽、収入を得るための音楽とは別に、自分のやりたい音楽をただひたすら追求するためのプロジェクトとして1988年に始動し、初期3部作はMike Oldfieldのようにゲストを交えながらも基本的に様々な楽器を自分で演奏し、多重録音でコツコツと作り上げた作品だった。その後、活動休止期間を経て、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノ、ギターという室内楽編成でのAcoustic Asturiasとして活動再開。さらにロックバンド形式でのElectric Asturiasも始動。そして、初期のような多重録音でアルバムを制作するMulti Asturiasと三つの形態で活動を続け、海外での音楽フェスに招待されるなど、国内外で高く評価されている。2021年にはAsturiasの曲を弦楽四重奏で演奏するQuartet Asturiasも誕生し、さらに音楽表現のヴァリエーションが増え、今回はAcousticとQuartetのジョイントライヴという企画が実現した。

 ということで、行ってきた。

 17時15分開場、18時開演。

 最初に大山氏が登場し、先に演奏するカルテットの曲目の中に含まれるMichel Polnareffの曲について予め解説。これは大山氏が自分のお金で初めて買ったレコードの1曲だそうで、大いに影響を受けたとのこと。

 そして、Quartet Asturias(カルアス)登場。アコアスの前任ヴァイオリニストで、エレアスのメンバーでもあるテイセナさんがリーダーということらしい。

 テイセナ(1st Violin)  森田綾乃(2nd Violin) 世川すみれ(Viola) 末永亜裕美(Cello)

 全員が黒系の衣装で、完全にクラシックの弦楽カルテットにしか見えないが、1曲目はいきなり「Rogus」からスタート。わりと激しめの曲調で、あらゆる形態で演奏されてきた人気曲。カッコよくて、いきなり引き込まれる。各楽器が華麗に歌ったり、リズムを刻んだり、変幻自在で、素晴らしいアンサンブル。こういう曲がこの先、普通にクラシックのレパートリーに加わって、あちこちで様々な奏者によって演奏される日が来ないだろうか、と考える。

 2曲目は「漂雲 -clouds-」。こちらはだいぶ穏やかで美しいメロディ。


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 3曲目 アドレセンスィア

 4曲目 愛の旅人達 -Voyages-(M.Polnareffカバー)

 5曲目 クリプトガム・イリュージョン

 6曲目 Bird Eyes View

 7曲目 メデューサ

 8曲目 フォースディメンション part3&part4

 これで本編終了。アンコールはアコアスのピアニスト(実はヴァイオリニストでもある)関口太偲(Pf)を加えて「Resolution」だった。

 楽曲の美しさが引き立つような演奏で、素晴らしかった。そして、こういう演奏はライヴハウスよりも、もっとゆったりとした雰囲気の中で聴きたいとも思う。過去のアコアスのライヴだと閉店してしまった鎌倉の欧林洞のサロンでのコンサートはよかった。チャペルでのコンサートもあったな。

 

 15分の休憩をはさんで、Acoustic Asturiasが登場。新編成になってから3度目のライヴである。カルアスが全員黒の衣装だったのに対して、アコアスはみんな白の衣装で統一されている。

 大山曜(Gut Guitar)  星野沙織(Violin) 佐野まゆみ(Cello) 関口太偲(Piano)

 冒頭で、大山氏がカルアスの演奏を聴いて、「自分の作った曲を演奏してくれる素晴らしい楽団を持った王様になった気分」と語っていたが、まさに音楽家冥利に尽きるとはこのことなんだろう。これから演奏機会をどんどん増やして、作曲家大山曜の楽曲の魅力を世に広めてほしいと心から願う。

 さて、アコアスである。定番曲ともいえる「WATARIDORI」からスタート。

 2曲目が新編成のために書かれた、やたらと大変そうな「Heliocentrism」。


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 3曲目は一転して、クラシカルな雰囲気の「深夜廻のテーマ」。

 4曲目は「神の摂理に挑む者たち」。これも定番曲だが、新編成向けにアレンジが変わって、印象が変わった。クラリネットからチェロへの交代が大きいが、歴代ヴァイオリニストの演奏もそれぞれに違いが感じられて、そこが面白い。


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 5曲目が今回のために準備された新曲。北欧の夏至のお祭りで、飾りつけた柱の周りを人々が歌って踊る様子をイメージして作った曲とのこと。タイトルはスウェーデン語で「Midsommerstang」。

 6曲目はエレアスの「時を支配する人々」。

 7曲目はアコアスがエリック・クラプトンのトリビュートアルバムに参加した時に演奏したCREAMのカバー「White Room」。

 8曲目は「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」

 9曲目は本編最後で前回初演だった「Ricochet」。ヴァイオリンの弓を弦の上で弾ませるようなリコシェ奏法が聴きどころ。

 アンコールは「The Lancer」だった。 

 この音楽にずっと身を委ねていたくなるが、これから新作の録音に取り掛かるということなので、新しいアルバムの完成と次回のライヴを楽しみに待ちたい。

 

 吉祥寺駅前のイルミネーション。